プレイリスト
2020.10.04
おはようバッハ—教会暦で聴く今日の1曲—第14回

「その御名にふさわしき栄光を主に捧げます」BWV148 ——三位一体後第17主日

音楽の父ヨハン・ゼバスティアン・バッハが生涯に約200曲残したカンタータ。教会の礼拝で、特定の日を祝うために作曲されました。
「おはようバッハ—教会暦で聴く今日の1曲—」では、キリスト教会暦で掲載日に初演された作品を、その日がもつ意味や曲のもととなった聖書の聖句とあわせて那須田務さんが紹介します。

那須田務
那須田務 音楽評論家 

ドイツ・ケルン音楽大学を経てケルン大学で音楽学科修士修了(M.A)。専門はピアノやオーケストラ等クラシック全般だが、とくにバッハを始めとするバロック音楽、古楽演奏。音...

中世フランスの装飾写本「ベリー公のいとも豪華なる時祷書」から、歌詞に現れる詩篇(42)の部分。

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新型コロナに猛暑、台風といろいろ大変ですが、時が経つのは早いですね。いつの間にか10月、すっかり秋の盛りになりました。本日お聴きいただくのは、1723年か1725年の三位一体後第17主日(日曜日)の礼拝で初演されたと考えられている「その御名にふさわしき栄光を主に捧げます」。番号でいうと有名な「主よ、人の望みの喜びよ」のコラールで人気の「心と口と行いと生きざまをもて」147番の一つあとの148番ですが、規模は小さく、シンプルながらとても魅力的な曲です。

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その日の聖書の朗読箇所はルカによる福音書第14章第1~11節。イエスが安息日に水腫を患っている人を癒したとエピソードと、婚宴などの席に招待されたら上席に着かず、末席に座りなさい。謙虚になりなさいと語った場面です。

14:01安息日のことだった。イエスは食事のためにファリサイ派のある議員の家にお入りになったが、人々はイエスの様子をうかがっていた。 14:02そのとき、イエスの前に水腫を患っている人がいた。 14:03そこで、イエスは律法の専門家たちやファリサイ派の人々に言われた。「安息日に病気を治すことは律法で許されているか、いないか。」 14:04彼らは黙っていた。すると、イエスは病人の手を取り、病気をいやしてお帰しになった。 14:05そして、言われた。「あなたたちの中に、自分の息子か牛が井戸に落ちたら、安息日だからといって、すぐに引き上げてやらない者がいるだろうか。」14:06彼らは、これに対して答えることができなかった。 14:07イエスは、招待を受けた客が上席を選ぶ様子に気づいて、彼らにたとえを話された。 14:08「婚宴に招待されたら、上席に着いてはならない。あなたよりも身分の高い人が招かれており、 14:09あなたやその人を招いた人が来て、『この方に席を譲ってください』と言うかもしれない。そのとき、あなたは恥をかいて末席に着くことになる。 14:10招待を受けたら、むしろ末席に行って座りなさい。そうすると、あなたを招いた人が来て、『さあ、もっと上席に進んでください』と言うだろう。そのときは、同席の人みんなの前で面目を施すことになる。 14:11だれでも高ぶる者は低くされ、へりくだる者は高められる。」

新共同訳聖書より「ルカによる福音書」14章1〜11節

レンブラント作「水腫患者を癒すイエス・キリスト」(1649)

バッハのカンタータの編成は、アルトとテノールの独唱、合唱、トランペット、オーボエ3、弦楽と通奏低音。第1曲は合唱。トランペットをふくむ全合奏で晴れやかに「主の御名にふさわしい栄光を讃え、主に祈りを捧げよ」と歌うと、

テノール(アリア)が独奏ヴァイオリンや伴奏の通奏低音とともに、「私は命の教えを聞くために急ぐ。喜びとともに聖なる家を求める。幸福なものたちが、いと高き者を讃えて、美しい喜びの調べを響かせる」と心のときめきを伝えます。

するとアルト(レチティーヴォ)が、しっとりとした情感を込めて詩篇(43)の言葉「鹿が清らかな水を求めて鳴くように、神よ、私の魂はあなたを求めます。私のやすらぎはあなた以外にないからです。あなたの安息日の祝いは神聖で貴い。神は自ら私の中にお住まいです」と語り、

今度は3本のオーボエを伴って、「私の口と心はあなたの前に開かれている。いと高き方よ、その中に入ってください。私はあなたの中に、あなたは私の中にある。信仰、愛、忍耐、希望は私の安らぎの寝床であってほしい」と歌います。

ここで初めてテノール(レチタティーヴォ)が聖書の安息日に言及します。すなわち、「私の神よ、私の中に留まり、あなたの霊をお与えください。霊が私を御言葉によって治め、あなたの心にかなう生活を送らせてくださいますように。そうすれば私は、この世の時の後であなたの栄光に包まれてあなたとともに大いなる安息日を保てることでしょう」と。

そして最後にコラール(賛美歌)「わたしの愛しい神に」で締めくくられるのですが、バッハの楽譜には歌詞がありません。そこで今では、本日のバッハ・コレギウム・ジャパンの演奏のように、コラールの最終節「いかなる時にも私はアーメンを心の底から唱えます。ですから主、イエス・キリストよ、どうか私たちを導いてください」が歌われています。

那須田務
那須田務 音楽評論家 

ドイツ・ケルン音楽大学を経てケルン大学で音楽学科修士修了(M.A)。専門はピアノやオーケストラ等クラシック全般だが、とくにバッハを始めとするバロック音楽、古楽演奏。音...

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