『それでも、生きてゆく』〜ラフマニノフとショパンが二面性を、辻井伸行が希望を表現
2020.02.09
おやすみベートーヴェン 第56夜【天才ピアニスト時代】
歌曲「愛されない男のため息~応えてくれる愛」——悲痛な訴えから一転、《第九》を思わせる流麗な旋律
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1792年、22歳のベートーヴェンは故郷ボンを離れ、音楽の中心地ウィーンに進出します。【天才ピアニスト時代】では、ピアニストとして活躍したウィーン初期に作曲された作品を紹介します。
悲痛な訴えから一転、《第九》を思わせる流麗な旋律 歌曲「愛されない男のため息~応えてくれる愛」
18世紀に活躍した詩人ビュルガーの詩それ自体が二部仕立てで、前半では、創造主にさえ文句をつけるように、「お前は生きとし生けるものすべてに愛を与えなかったのか」と愚痴、「草木も苔も愛で結ばれるのに、僕には応えてくれる愛がない」とため息する。
一転して後半では、「あなたが僕を想ってくれることさえわかれば、君がキスさえ交わしてくれるなら、この身も魂もすべて捧げて、報われよう」と歌う。この後半の主題旋律は、歌詞を変えて1808年作曲の《合唱幻想曲》に使われる。さらに、《第九》の歓喜の歌に似ていると言われることもある。
解説:平野昭
愛されない男のため息……「Warum?(なぜ?)」という想いのこもった問いかけに、重みがありますね。ガラッと雰囲気が変わる後半は、たしかに《第九》に似ているような?
後半の返答を女性が歌う場合もあります。
作品紹介
「愛されない男のため息~応えてくれる愛」WoO118
作曲年代:1794/95年(ベートーヴェン24/25歳)
出版:1837年
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