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2020.04.26
おやすみベートーヴェン 第133夜【天才ピアニスト時代】

ヴィンターのオペラ《妨げられた奉納式》の四重唱〈子供よ、静かに寝なさい〉による7つの変奏曲——大ヒットオペラの主題を用いた壮大な変奏曲

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

1792年、22歳のベートーヴェンは故郷ボンを離れ、音楽の中心地ウィーンに進出します。【天才ピアニスト時代】では、ピアニストとして活躍したウィーン初期に作曲された作品を紹介します。

ONTOMO編集部
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神楽坂を拠点に、取材・編集作業をしています。

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ

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大ヒットオペラの主題を用いた壮大な変奏曲 ヴィンターのオペラ《妨げられた奉納式》の四重唱〈子供よ、静かに寝なさい〉による7つの変奏曲

マンハイム生まれの作曲家ペーター・ヴィンター(1754~1825)は、1795年から98年まで足かけ4年間ウィーンに滞在して作品を書いている。軽妙洒脱なジングシュピール(ドイツ語による歌芝居)と、コミック・オペラ(セリフを含むフランスのオペラの一形態)で人気を博した。

 

中でも、1796年6月14日にケルントナートーア劇場で初演されて以来、1807年までに65回も上演された大当たりのコミック・オペラが、F.フーバー台本の《妨げられた奉納式》である。このオペラはピアノ伴奏版として、1797年から98年にかけて、ボンのジムロック社から出版されており、その第18曲にベートーヴェンが7つの変奏曲の主題に用いた四重唱が収められている。

 

ベートーヴェンは、1799年の6月末あるいは7月初めに作曲を開始して、同年12月にウィーンのモロ社から出版している。

 

主題はヘ長調、4分の2拍子、アレグレットの軽やかな明るいものだが、変奏主題としては異例の全49小節という長大なもの。3度の重音による旋律やエチュード風の3連音符など、かなり技巧的な変奏曲。第6変奏がミノーレ(短調)変奏で、ヘ短調となって響きにかげりを見せる。第7変奏は、マッジョーレ(長調)変奏としてヘ長調が復帰するが、全変奏中でここだけが4分の3拍子となっている。そのため110小節に及ぶ4分の2拍子、アレグロ・モルトの華麗なコーダが付けられている。

 

解説:平野昭

約11分のとても聴きごたえのある変奏曲です。このように人気作の主題から変奏曲を作曲する背景については、パイジェッロのオペラ《水車小屋の娘》のニ重唱〈うつろな心〉による6つの変奏曲の解説を参考にしてみてください。

作品紹介

ヴィンターのオペラ《妨げられた奉納式》の四重唱〈子供よ、静かに寝なさい〉による7つの変奏曲WoO75

作曲年代:1799年(ベートーヴェン29歳)

出版:1799年12月

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