プレイリスト
2020.05.02
おやすみベートーヴェン 第139夜【天才ピアニスト時代】

「ゲーテの詩による歌曲《君を思う》による4手のための6つの変奏曲」——生徒であった2人の姉妹に贈った連弾曲

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

1792年、22歳のベートーヴェンは故郷ボンを離れ、音楽の中心地ウィーンに進出します。【天才ピアニスト時代】では、ピアニストとして活躍したウィーン初期に作曲された作品を紹介します。

ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ
編集協力:水上純奈

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生徒であった2人の姉妹に贈った連弾曲「ゲーテの詩による歌曲《君を思う》による4手のための6つの変奏曲」

1790年代後半のウィーンの音楽愛好貴族界では個性派ピアニスト、ベートーヴェンの名前は不動のものとなっていた。弟子入りを希望する貴族子弟が跡を絶たず、1799年5月にはハンガリーの名門貴族ブルンスヴィク家の長女テレーゼ(1775〜1861)と次女ヨゼフィーネ(1779〜1821)に短期間であるがピアノを教えている。アナトル・ブルンスヴィク伯爵(1745〜93)の未亡人アンナ・バルバラ(1752〜1830)は、2人の娘を社交界にデビューさせるため99年5月にウィーンに出てくる。その滞在中の2週間、ベートーヴェンは彼女たちが宿泊しているホテルに毎日出向いて教えたのである。5月23日にベートーヴェンは彼女たちの記念帳にゲーテの詩〈恋人の傍で Nahe des Geliebten〉の第1行「君を思う Ich denke dein」に曲付けし、さらにピアノ連弾用の4つの変奏を作って記し、「願わくば時にはあなたたちお二人がこのささやかな音楽の捧げ物を演奏したり、歌ったりして、お二人を真に敬愛申し上げるルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンのことを思い出してくださりますように」と書き添えている。ベートーヴェンは後に2つの変奏を加えて《ゲーテの詩『君を思う』による歌曲と4手のための6つの変奏》WoO74としてまとめ、1805年1月に出版し、この初版譜をダイム伯爵夫人ヨゼフィーネとテレーゼ・ブルンスヴィク伯爵令嬢に献呈している。

——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)55ページより

この作品には、子どもたちが連弾で演奏している様子が浮かんでくるような、優しさと可愛らしさが詰まっています。自分たちで歌ったり演奏したりできるような作品を贈ってくれるベートーヴェンは、多くの生徒たちに愛されていたのではないでしょうか。

作品紹介

「ゲーテの詩による歌曲《君を思う》による4手のための6つの変奏曲」WoO74

作曲年代:1799年5月/1803年〜04年(ベートーヴェン28歳/33歳頃)

出版:1805年1月

歌曲とその主題による4手連弾変奏曲

平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

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