「モーツァルトの歌劇《魔笛》から〈恋を知る殿方には〉の主題による7つの変奏曲」――チェロとピアノのためのドラマティックな二重奏
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
チェロとピアノのためのドラマティックな二重奏「モーツァルトの歌劇《魔笛》から〈恋を知る殿方には〉の主題による7つの変奏曲」
ベートーヴェンは1796年に2つのチェロ・ソナタOp.5を作曲したときに、ヘンデルのオラトリオ主題による変奏曲WoO45と、もうひとつのモーツァルトの《魔笛》からの主題〈娘っ子でも女房でも〉による12の変奏曲Op.66を作曲していた。それらはおそらく、名チェリストのジャン・ルイ・デュポールとベートーヴェンによって演奏されただろうが、こちらの《魔笛》変奏曲は、それからほぼ5年後の1801年の作品。
ベートーヴェンはモーツァルトのオペラのなかで《ドン・ジョヴァンニ》や《コシ・ファン・トゥッテ》に見られる男女の関係をみずからの道徳観、倫理観に合わないとして嫌う一方で、《魔笛》は内容も音楽も高く評価していた。
この変奏曲は《魔笛》第1幕で夜の女王の娘パミーナと鳥刺しパパゲーノが歌う二重唱を主題としている。第4変奏が変ホ短調のミノーレ変奏、第5変奏はややテンポを上げてドラマティックに盛り上がり、第6変奏はアダージョとなる。アタッカで第7変奏、コーダへと続く。
解説:平野昭
スペインだけで1003人の女性と浮名を流したと歌われる《ドン・ジョヴァンニ》、2組のカップルがそれぞれの恋人を「交換」する《コシ・ファン・トゥッテ》。現代においても、ちょっと過激な2つのオペラを嫌っていたというのは、なんとなくベートーヴェンのイメージにピッタリですね(しかし、ベートーヴェンは以前、《ドン・ジョヴァンニ》のメロディを使った変奏曲を1曲書いています)。
チェロの豊かな音色と、ピアノの掛け合いが楽しい1曲。原曲のデュエットも併せてお楽しみください。
モーツァルト作曲オペラ《魔笛》より「恋を知る殿方には」
「モーツァルトの歌劇《魔笛》から〈恋を知る殿方には〉の主題による7つの変奏曲」WoO46
作曲年代:1801年(ベートーヴェン31歳)
出版:1801年1月
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