「7つのバガテル」——捨てがたいソナタ楽章を集めた小品集
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
捨てがたいソナタ楽章を集めた小品集「7つのバガテル」
平野 「7つのバガデル」Op33は見過ごされていますよね。WoO52や53にもバガデルがありますが、あれは明らかにソナタの第2楽章や第3楽章として作りつつ、最終的には外したのだと思います。Op33の7曲も、何かのソナタの楽章を想定して書かれたのではないかという解釈も可能かもしれません。また、1802年に書かれたとされていますが、まとめられたのがこの時期であって、作曲自体はもっと前から始めていたと考えられます。
小山 確かに。なんとなくソナタの中にあっても、雰囲気が合いそうな……。例えば、第2曲などは「ピアノ・ソナタ第3番」Op2-3の第3楽章に置かれてもいいような感じもしますね。
平野 わざわざ作品番号をつけて出版しているくらいですから、ベートーヴェンとしては「捨てがたい」と思った作品をまとめたもののはずです。
——小山実稚恵、平野昭著『ベートーヴェンとピアノ「傑作の森」への道のり』(音楽之友社)125-126ページより
「バガテル」とは、「ちょっとしたもの」という意味を持つ言葉で、音楽的には短い小品のことを指します。この「7つのバガテル」はピアノ・ソナタを想定して書かれた作品を集めたものということで、いろいろな性格の曲を1度に聴くことができます。最初から聴いたり、気分に合わせて聴いたりしてお楽しみください。
「7つのバガテル」Op.33
作曲年代:1802年(ベートーヴェン31歳頃)
出版:1803年
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