プレイリスト
2020.08.24
おやすみベートーヴェン 第253夜【作曲家デビュー・傑作の森】

「異郷の若者」——余った旋律に歌詞を後付け!?

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!

ONTOMO編集部
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神楽坂を拠点に、取材・編集作業をしています。

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ

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余った旋律に歌詞を後付け!?「異郷の若者」

ベートーヴェンは1809年にルートヴィヒ・ライシッヒの詩で5曲ほどの歌曲を作曲しているが、この「異郷の若者」の成立は、ちょっとおもしろい。実はこの旋律は、現在《遥か遠くからの歌》WoO137(第2稿)として知られる歌曲の第1稿であったのだ。作曲し直して第2稿を発表したので、第1稿の旋律が余ってしまい、それに「異郷の若者」の歌詞を載せたのである。歌詞の後付けだ!

「春は自然のふところから咲き出で、晴れやかに笑う花を野にふりまく。でも、僕に笑いかけても無駄だ、谷よ、丘よ。僕の胸には不安と悲しみが留まっている。夕べになると寂しい森をさまよった、ナイチンゲールが枝雀の中で歌っていた。月光が葉陰をから美しく差し込む、でも安らぎを見つけることはできなかった」

解説: 平野昭

なんとも不思議な成立をもつ歌曲です。「遥か遠くからの歌」にも“花”や“ナイチンゲール”など、この曲の歌詞と同じ言葉が出てくるので、関連性は見いだせそうです。「遥か遠くからの歌」第1稿も併せて聴いてみましょう。

作品紹介

「異郷の若者」WoO138

作曲年代:1809年(ベートーヴェン38歳)

出版:1810年 7月

ONTOMO編集部
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神楽坂を拠点に、取材・編集作業をしています。

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