「交響曲第8番 へ長調 第4楽章」——進化を続けるベートーヴェンの交響曲。創作期の一区切り
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
進化を続けるベートーヴェンの交響曲。創作期の一区切り「交響曲第8番 へ長調 第4楽章」
ベートーヴェンの交響曲創作期は、第8番までが1799年から1812年までの13年間に集中している。この間、オペラ《フィデリオ》創作の中心となる1804年や《運命》と《田園》を初演した直後の1809年から交響曲第7番に着手するまでの2年半ほどの空白は見られるが、ベートーヴェンの脳裡には常に新しい交響曲を生み出そうとする意図があったことは確かである。《運命》と《田園》までの交響曲では主題動機の展開構成による楽章統一、さらには統一動機による全曲統一を創作理念としてきたが、この2作品でそれを達成した後、ベートーヴェンは全く新たな作曲法を追求し、交響曲第7番と第8番でリズムの扱い方に新機軸を見出したのである。1812年に相次いで2曲の交響曲を完成させると、交響曲第9番までに12年という長い空白が横たわることになる。
——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)215-216ページより
交響曲第7番、第8番が披露されたとき、新作交響曲を待ちわびていた聴衆が作品を称賛していたということは、昨日ご紹介しましたが、ベートーヴェン最後の交響曲作品である第9番まではここからさらに12年待つことになります。
ベートーヴェンは、交響曲の新しさを追求し続け、作曲法や構成などの点でもだんだん進化しているようです。新しく見出したというリズムの使い方にも注目しながら、壮大なフィナーレをお楽しみください。
「交響曲第8番 へ長調」Op.93
作曲年代:1812年(ベートーヴェン41歳)
初演:1814年2月27日
出版:1817年春S.A.シュタイナー社(ウィーン)
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly