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2020.10.07
おやすみベートーヴェン 第297夜【不滅の恋人との別れ】

「トライチュケのジングシュピール《良い知らせ》への終曲合唱〈ゲルマーニア〉」——5人の作曲家による合作!ベートーヴェンは華やかな終曲を担当

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

ウィーン会議、ナポレオンの没落......激動のウィーンで43歳になったベートーヴェン。「不滅の恋人」との別れを経て、スランプ期と言われる時期を迎えますが、実態はどうだったのでしょう。

ONTOMO編集部
ONTOMO編集部

神楽坂を拠点に、取材・編集作業をしています。

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ
編集協力:水上純奈

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5人の作曲家による合作!ベートーヴェンは華やかな終曲を担当「トライチュケのジングシュピール《良い知らせ》への終曲合唱〈ゲルマーニア〉」

本日ご紹介するのは、トライチュケが書いたジングシュピール(ドイツ語のオペラ)、《良い報せ》からの作品です。トライチュケは、ベートーヴェンが書いた唯一のオペラである《フィデリオ》改訂に協力、大成功へと導いた人物。《良い報せ》は、このオペラより前に書き始められたと見られています。

実は、ベートーヴェンとトライチュケは《フィデリオ》改訂の前に別のジングシュピールの作成に取り掛かっていた節がある。トライチュケが急遽書き上げた一幕のジングシュピール《良い知らせ》である。これは前年10月にライプツィヒで展開された、いわゆる「諸国民の戦い」と呼ばれる対仏同盟軍が大攻勢をかけ、その先人をきったプロイセン・オーストリア同盟軍が2月末にパリに入城したという報せがウィーンに歓呼をもたらしていたのである。

ニュース速報のような速筆で作成されたトライチュケの《良い報せ》を、5人の作曲家が分担することになった。序曲と8曲のナンバーからなるこの作品をJ.N.フンメル、ヨーゼフ・ヴァイグル(1766〜1864)、フランツ・クサーヴァー・モーツァルト(W.A.モーツァルト の息子、1791〜1844)、F.A.カンネ(1778〜1833)そしてベートーヴェンの5人が作曲した。中心となったのはフンメルで序曲と3曲を、ベートーヴェンは終曲のバス独唱と合唱のための《ゲルマーニア》WoO94を作曲した。これはおそらく4月の第1週のことで、この年の復活祭翌日の4月11日にケルントナートーア劇場で初演され、5月3日までの間に5回上演されている。

——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)141-142ページより

《良い報せ》は5人の作曲家による合作となり、ベートーヴェンはその中の終曲を担当しました。華やかな合唱曲で、プロイセン・オーストリア同盟軍がパリに入城したという、まさに《良い報せ》を喜ぶ様子が目に浮かびます。初演から1ヶ月経たない間に5回も上演されたとのことなので、当時の人気も高かったのではないでしょうか。

作品紹介

「トライチュケのジングシュピール《良い知らせ》への終曲合唱〈ゲルマーニア〉」WoO94

作曲年代:1814年3〜4月(ベートーヴェン43歳)

初演:1814年4月11日

出版:1814年6月(ピアノ編曲版)

バリトン独唱と混声四部合唱

5人の作曲家による合作歌芝居

平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)

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