希望に寄せて(第2作)——詩の改作を知ってベートーヴェンも再作曲!
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
ウィーン会議、ナポレオンの没落......激動のウィーンで43歳になったベートーヴェン。「不滅の恋人」との別れを経て、スランプ期と言われる時期を迎えますが、実態はどうだったのでしょう。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
詩の改作を知ってベートーヴェンも再作曲! 希望に寄せて(第2作)
1805年の早春に作曲された第1作Op.32は、3節の詩に曲付けした有節歌曲であった。1811年8月にテプリツェで詩人のティートゲと出会って、詩が改作されていることを知って、音楽の改作を思いついたようだ。10月には、ティートゲに宛てた手紙で、改訂された詩(詩集『ウラーニア』掲載)を送ってほしいと書いている。改訂された詩には、開始冒頭に5行の詩句が加えられており、ベートーヴェンはこの言葉を生かして、大きなアリア風の歌曲として作曲した。
「聖なる夜にお前が心から祝うものは」で開始した旧作の詩の前に、「神はいますか? 神は憧れが涙で約束したことを叶えてくれますか? いつなのか? 最後の審判の日に神秘の存在は現れるのだろうか? 希望するのだ! 人よ、尋ねてはならぬ!」と歌われる。
2分の2拍子のレチタティーヴォ風の変ロ短調から始まり、4分の4拍子のニ長調、ト長調へと転調。さらにテンポを緩めて、変ホ長調、ニ短調、ハ長調、ト長調へとうつろう。
解説: 平野昭
詩の改作に合わせて、ベートーヴェンも改めて作曲したのですね。ぜひ聴き比べてみてください。
希望に寄せて(第2作)Op.94
作曲年代:1815年春(ベートーヴェン45歳)
出版:1816年4月
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly