「10の民謡主題と変奏曲」——晩年様式の充実した変奏技法が見られる室内楽曲
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
48歳となったベートーヴェン。作品数自体は、これまでのハイペースが嘘のように少なくなります。しかし、そこに並ぶのは各ジャンルの最高峰と呼ばれる作品ばかり。楽聖の「最後の10年」とは、どんなものだったのでしょう。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
晩年様式の充実した変奏技法が見られる室内楽曲 「10の民謡主題と変奏曲」
前回のOp.105とまったく同じコンセプトで1818年から19年にかけて作曲された。すでにピアノ・ソナタ《ハンマークラヴィーア》を完成させた時期であり、晩年様式の充実した変奏技法が聴かれる。
第1番「フリードリヒ・ザッツェンホーフェンのジングシュピール?《籠作り職人》から〈僕はチロルの男の子〉の主題と4つの変奏」変ホ長調
第2番「スコットランド民謡〈素敵な人、ハイランドの若者〉の主題と4つの変奏」ヘ長調
第3番「ウクライナ(小ロシア)民謡の主題と6つの変奏」ト長調
第4番「アイルランド民謡〈アイルランドっ子の胸は高まる〉の主題と5つの変奏」ヘ長調
第5番「フリードリヒ・ザッツェンホーフェンの歌〈娘っ子、ああ娘っ子〉の主題と3つの変奏」ヘ長調
第6番「ウェールズ民謡による主題と4つの変奏」変ホ長調
第7番「ロシア(ウクライナ)民謡〈美しいミンカよ、行かなくては〉の主題と6つの変奏」イ短調
第8番「スコットランド民謡〈おお、メアリー、窓辺まで来ておくれ〉の主題と5つの変奏」ニ長調
第9番「スコットランド民謡〈ああ、あなたこそ私の心の人、ウィリー〉の主題と5つの変奏」変ホ長調
第10番「スコットランド民謡〈ハイランドの監視兵〉の主題と5つの変奏」ト短調
解説: 平野昭
昨日に続き、今日も民謡をもとにした変奏曲です。フルートまたはヴァイオリンとピアノという編成で、この規模の室内楽では最後の作品。ベートーヴェンの晩年の作曲技法を味わいましょう。
「10の民謡主題と変奏曲」Op.107
作曲年代:1818/19年(ベートーヴェン48/49歳)
出版:1819年5月(vn.版も同時出版)
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