《奉献歌》——最後の歌曲は24年前の作品をオーケストラ伴奏に編曲!
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
48歳となったベートーヴェン。作品数自体は、これまでのハイペースが嘘のように少なくなります。しかし、そこに並ぶのは各ジャンルの最高峰と呼ばれる作品ばかり。楽聖の「最後の10年」とは、どんなものだったのでしょう。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
最後の歌曲は24年前の作品をオーケストラ伴奏に編曲! 《奉献歌》
ベートーヴェンが生涯にわたって関心を示していたのが、フリードリヒ・フォン・マッティソン(1761〜1831)の詩《奉献歌》である。最初にスケッチを試みたのは1796年で、この時は独唱とピアノのためのものであった。これはスケッチに終わるが、1798年に新たに作曲されている。しかし、これを1802年に改訂し、さらに08年に出版する前に最終的改訂を加えている。
1822年暮れになって、これをピアノ伴奏からオーケストラ伴奏に改作している。これとは別に、22年から23年にかけて別編成の改訂を行っている。22年版は2本のクラリネット、ホルン、ヴィオラ、チェロとコントラバスにソプラノ、アルト、テノールの独唱と混声四部合唱という編成であるが、24年版はクラリネット、ファゴット、ホルン各2管と弦楽合奏、ソプラノ独唱と混声四部合唱となっている。さまざまな版に改作されているが、どれも合唱部にはコラール風の敬虔さが窺え、一方、ソプラノ独唱などにはオペラティックな表現が見られ、多彩な音楽となっている。
——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)258ページより
1796年から四半世紀を経て、多様な編成に編曲したこの作品。「おやすみベートーヴェン」で紹介する最後の歌曲です。
晩年のベートーヴェンのこだわりが込められた、独唱、合唱、そしてオーケストラによる重厚な響きを味わいましょう。
《奉献歌》Op.121b
作曲年代:1822年(ベートーヴェン52歳)
出版:1888年
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