《ロンド》ハ短調Op.1――15歳のショパンが初めて出版した作品
ショパンの作品を全曲聴いてみよう! ショパン自身がつけた作品番号順に聴くことで、ショパンの“設計図”が見えてきます。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
15歳のショパンが初めて出版した作品 《ロンド》ハ短調Op.1
ショパンは15歳になった1825年に、ピアノ独奏曲《ロンド》ハ短調を、作品1として出版した。さらにロッシーニのオペラ《セビリャの理髪師》のアリアを使って、《ポロネーズ》を作ったと、1825年11月、友人のヤン・ビャウォブウォツキに書いている。この作品の楽譜は残念ながら現存していない。
作品1がロンドであること、ロッシーニのメロディを使って曲を作ったということに興味をそそられる。
若き作曲家ショパンはすでに聴衆の好みを強く自覚していたのでは、と考えられる。《ロンド》では主題とほかの主な旋律要素を繰り返すことで、曲としてのまとまりと説得力を確かにしている。オペラの旋律をテーマにした曲では、当時たいへんな人気があったロッシーニのオペラのなかのよく知られた旋律を使って、華麗なピアニズムを繰り広げる。
このように、15歳にしてしすでにショパンは聴き手の理解と感動を即座にひきうける手腕が備わっていたということになる。
——小坂裕子著 作曲家◎人と作品シリーズ『ショパン』(音楽之友社)22~23ページより
15歳にして初めて作品を出版したショパン。8歳で公開演奏会を開きましたが、それ以前から自宅サロンでは即興の腕前を披露していたそうなので、いかに早くからショパンの才能が花開いていたのかがわかります。
小坂裕子さんのインタビューで、Op.1から65までは、ショパンの中にあった“設計図”に組み込まれているもので、自ら作品番号をつけたとお聞きしました。この作品が設計図計画の第一歩ということですね。
《ロンド》ハ短調Op.1
作曲年代:1825年(ショパン15歳)
出版:1825年
献呈:Ludwika Nussbaum
ショパンが当時在学していたワルシャワ高等中学校の校長で、ポーランド語辞書編纂者としても知られたサムエル・ボグミウ・リンデ(1771~1847年)の夫人ルドヴィカ
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