ペリカン独特のクチバシを表現!? 学んで工作して音で遊んだワークショップ
生物を題材にした子どものためのピアノ曲集を作るために、音楽之友社と作曲家の春畑セロリさんが企画した、題して『いきものスケッチブック』プロジェクト。
生き物とアートのスペシャリストも講師にお招きし、ワークショップを通じて、子どもたちに表現のアイデアをもらおうという試みです。
第5回のテーマは、ペリカン。あの独特のクチバシを、どう作って表現するのでしょうか。
1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...
まずは鳥の音楽を聴いてみよう
このワークショップでは毎回、テーマの生き物にちなんた曲を、作曲家の春畑セロリさんがピアノで演奏してくれます。曲集は『ゼツメツキグシュノオト』。絶滅が危惧された、美しく、可愛らしい、ステキな動植物の世界が音楽で描かれている作品集です。
今回のテーマは「ペリカン」なので、同じ鳥の仲間ということで、セロリさんは〈クマゲラ〉を演奏してくれました。
「クマゲラって知ってる?」というセロリさんからの問いかけに、知っているという子はだれもいませんでした。
「クマゲラはキツツキの仲間です。キツツキは木を突く鳥だよね」
クマゲラの様子をスタッカートの連打で表現した曲を、みんなで聴きました。
ピアノ曲集『ゼツメツキグシュノオト』より「クマゲラ」
ペリカンって、どんな鳥?
さて、ここで今日の主役の「ペリカン」の紹介です。今回も生き物のことを詳しく教えてくれるのは、蝦名元先生です。
「ペリカンは、水鳥の仲間です。カモやハクチョウと同じように、水にプカプカ浮いて、泳ぐタイプの鳥ですね。ペリカンは渡り鳥でもあります。季節が変わると、国から国へと飛んで行きます。住む範囲がとても広い鳥ですね。
ペリカンは世界で8種類しか知られていません。前に紹介したサルは220種類もいたのにね!
おもにアフリカやアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどに住んでいます。季節によっては、ベトナムや台湾などにも渡ってきます。ときどき、台風などで飛ばされて、日本に迷い込んできてしまうペリカンもいます」
「日本ではこれまで、3種類のペリカンが確認されています。数年前に高知県で確認されたこともありました。また、千葉県の印旛沼というところに、もう20年も、どこにも行かず、住み着いているペリカンもいます。どこから来たのかは、誰も知りません。江戸時代にも、京都にペリカンが迷い込んできたという記録があります」
そんなペリカンの特徴は、なんといっても大きなクチバシ!ビヨ〜ンと大きく広がる袋状の部分がありますよね。
「大きな袋は、網のように使います。水の中でクチバシを大きく広げ、袋の中にたくさんの魚を捕まえて、ごっくんと丸呑みします。余分なお水はクチバシの隙間から出しています。
それから、この袋には血管がいっぱい走っています。暑いときは、血液を回して体温を下げる役割も果たしています」
ここで蝦名先生が動画を見せてくれました。ペリカンはこのクチバシを動かして、カタカタカタカタ……という音を出していました。姿形の独特なクチバシですが、こんな音も出しているんだ〜と、みんなビックリ。
ペリカンの特徴を形にしてみよう
そんなおもしろいクチバシをもったペリカンを、みんなで作ってみよう! ということで、マイ・ペリカンの工作を準備してくれたのは、秋田彩子先生です。
「今回は、クチバシがカタカタと鳴るペリカンを作ります。まず、頭と体を紙で作るので、好きな色を塗ってみましょう」
子どもたちは、思い思いの色で、ペリカンの頭・体・足の色をデザインします。
クチバシをカタカタと鳴らす仕組みは、秋田先生が事前に準備しておいた針金でできた骨組みです。
この骨組みに、薄手の白いゴム手袋をかぶせれば、クチバシ部分が出来上がり。ゴム手袋をハサミで切ったり、骨組みにかぶせたりするのは、けっこう繊細な作業でした。今までのこのワークショップでは一番難しかったかも!? でも先生たちのサポートで、一人ひとり、集中して上手に作ることができました。
本当にみんな、集中してよくがんばりました。
ペリカンのクチバシの音とピアノで遊ぼう
人差し指と親指を、ペリカンのクチバシ部分に入れて動かすと、カタカタカチカチと気持ちのいい音も鳴ります。ちょっとしたコツが必要のようでしたが、練習したら、みんないい音が鳴りました。
では、みんなで作ったペリカンを持って、ピアノの前に集合〜!
「じゃあ今から、ピアノを鳴らしたとおりのリズムを、みんなもペリカンのクチバシで鳴らしてみて」とセロリさん。
ポポポン♪ ポポポポンッ♪
セロリさんの奏でるかわいい和音の音に続いて、みんなのペリカンもクチバシで応えます。なんだか楽しいアンサンブル♪
タタンッタタンッ♪ タンッタタンッ♪
みんなのリズムが揃うと、お〜!と先生たちの歓声。気持ちいいくらい、みんな揃っていました。
4つのリズムパターンを、チームに分かれて、みんなでリズム合奏。一斉に重ねて、セロリさんのピアノ演奏に重ねて遊んでみました。
蝦名先生のレクチャーでは、ペリカンの仲間として、ハシビロコウも紹介されていました。
「じゃあ最後に、動かないハシビロコウ役と、クチバシを鳴らすペリカン役をピアノでやってみよう!」とセロリさん。
低音でじゃ〜んと鳴らすハシビロコウ、高音で自由に動くペリカンの即興アンサンブルです。
「お家や学校でも、音で自由に遊んでみてくださいね」
動画:ペリカンの音のイメージを表現してみました!
セロリさんによるペリカンの音のモチーフ
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