第34回世界文化賞、ウィントン・マルサリス、ロバート・ウィルソンらが受賞
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
2023年9月12日、東京千代田区の日本プレスセンターにて、高松宮殿下記念世界文化賞、5名の受賞者と若手芸術家奨励制度が発表された。
絵画部門: ヴィヤ・セルミンス(アメリカ)
彫刻部門: オラファー・エリアソン(アイスランド/デンマーク)
建築部門: ディエベド・フランシス・ケレ(ブルキナファソ/ドイツ)
音楽部門: ウィントン・マルサリス(アメリカ)
演劇・映像部門: ロバート・ウィルソン(アメリカ)
会見には日本美術協会 副会長の清原武彦、絵画/彫刻部門選考委員 酒井 忠康、建築部門選考委員 押味 至一、音楽部門選考委員 井上 道義、演劇・映像部門選考委員 松岡 和子が出席。受賞者の紹介を行なった。
音楽部門はトランペット奏者で作曲家のウィントン・マルサリスが受賞。第1回のピエール・ブーレーズからはじまり、レナード・バーンスタイン、ジョルジ・リゲティ、ロストロポーヴィチ、ラヴィ・シャンカールら錚々たる面々に名を連ねた。
マルサリスは1961年生まれ、卓越したトランペット演奏でしられるジャズ・ミュージシャン、作曲家、教育者でもある。クラシック音楽の演奏や録音も数多く、1997年には奴隷制度を扱った作品『ブラッド・オン・ザ・フィールズ』で、ジャズ・ミュージシャンとして初のピューリッツァー賞を受賞している。
『ブラッド・オン・ザ・フィールズ』の演奏 2013年
ウィントン・マルサリス+ジャズ・アット・リンカーン・センター管弦楽団 フレデリック・P・ローズ・ホールでの公演より
選考委員の井上は、マルサリスについて「過去に共演した演奏会の舞台袖で、舞台に上がる前、わたしの蝶ネクタイを直してくれたのが印象的。我々クラシックの人間はできるだけラフに見せようとするが、ジャズは“まだアメリカで芸術として受け入れられていない”と語るマルサリスは、できるだけしっかりと見せようとしていたのだと思う」と語った。
また、演劇・映像部門を受賞した演出家ロバート・ウィルソンの名前も、音楽ファンにはなじみ深いかもしれない。1970年『聾者の視線(まなざし)』以来50年以上、途切れることなく作品を生み出しており、そこにはパリ・オペラ座のために演出した《魔笛》、《蝶々夫人》、ワルシャワ大劇場《ファウスト》。そして作曲家フィリップ・グラスとの伝説的なオペラ《浜辺のアインシュタイン》(1976)が含まれている。
選考委員の松岡は「ウィルソンさんは日本とも縁が深い。実は1981年、ウィルソンさんが“その体験からすべてが永遠に変わってしまった”6週間に及ぶ日本滞在時にインタビューをしています。その後のウィルソン作品に現れる白塗りなどは、あの滞在時の歌舞伎や能鑑賞の影響なのでしょう」と語った。
2023年10月には受賞者らが来日し、記者会見と授与式が行なわれる予定。建築部門のケレは「建築を語る」と題した講演会を予定している。絵画部門受賞のヴィヤ・セルミンスは今のところ日本での作品展示が少ないが、これを機会に作品を目にすることが多くなりそうだ。
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