応募者中、日本が最多エントリー! 第2回「ショパン国際ピリオド楽器コンクール」記者会見
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
2023年10月5日〜15日、ポーランド・ワルシャワで開催される「第2回 ショパン国際ピリオド楽器コンクール」。応募が終了したタイミングで、コンクールを主催するショパン研究所(NIFC/narodowy instytut fryderyka chopina)のメンバーが来日、記者会見を行ないました。
ショパン音楽をピリオド楽器で演奏する理念を広めていこうとする第一歩として2018年に第1回が開催、今回が2回目となる「ショパン国際ピリオド楽器コンクール」。会見ではショパン研究所の活動内容や、今回のコンクールについて、そして未来へ向けたプロジェクトが発表されました。
「NIFCは22年前に設立、ショパンに関する資料収集に軸足を置き、遺品、楽譜等を集めていくなかで、“ショパノロジー/ショパン学”という新たな学問が生まれていると確信しています。ショパンが当時演奏していたピリオド楽器の収集、そしてその楽器による演奏も私たちの興味・研究の対象であり、NIFC所有の楽器による録音プロジェクト“リアル・ショパン”も進んでいます。
20世紀に始まったショパン・コンクールは“ショパンの原点に立ち返る”ことを目指して作られました。ピリオド楽器コンクールは現代楽器コンクールに追随する形で2018年に第1回が行なわれ、世界中からの多大な関心をいただき、第2回の開催が実現することになりました」(アルトゥル・シュクレネル所長)
「今回のコンクールにおける応募者は22か国84名、その中でも一番多いのは日本からの23名、ポーランド15名と続きます。映像審査を経て、7月初めには本選の参加者をホームページ上で発表します。
審査員にはピリオド楽器の名手たち、そしてポーランドにおける偉大なるショパニストたちが名を連ねています」(ヨアンナ・ボクシチャニンNIFCコンクール担当チーフ)
会見には第1回コンクールで第1位を受賞したトマシュ・リッテルさんと第2位の川口成彦さんも登場、それぞれのコンクールの思い出と、ピリオド楽器による演奏も披露されました。
「よく覚えているのは、今まで出場してきたどのコンクールとも違う、未知の雰囲気を感じたこと。ピリオド楽器は現代ピアノに輪をかけて、それぞれの色を持っていますので、楽器を選択した時点で音楽性の大部分が決まるような気がしていました。どうしてこの演奏家はこの楽器を選んだのか、どうしてこのような奏法なのかを含めて、音楽だけではない考察の切り口を、聴衆の皆さんに与えるコンクールだったと思います」(トマシュ・リッテル)
「コンクール前までは主に古典派の作曲家にフォーカスしていたのですが、ロマン派の楽器を集中的に勉強する貴重な機会になり、それが人生に置ける良いターニング・ポイントになりました。今ではシューマン、ブラームスなど、もっと後の作曲家も演奏するようになり、ロマン派のピリオド楽器演奏という大きな門を開いてくれました。
このコンクールをきっかけにピリオド楽器に初めて触れる方々も多くいたようで、まさに古楽器への興味を若い演奏家たちに与えてくれるきっかけになったのではないでしょうか」(川口成彦)
今回のコンクールは本選まですべてのライブ配信・アーカイブ(NIFC YouTubeチャンネルにて)が予定されており、日本にいながらコンクール・ウォッチングが可能。2024年1月30日には、本大会の優勝者による日本ツアー(東京・静岡・兵庫の3都市、共演はバッハ・コレギウム・ジャパン)も決定しています。
2025年は第19回ショパン国際ピアノ・コンクールが開催、また同年には大阪万博においてポーランドの創造性、クリエイティブなDNAを語るため「ショパン・イン・大阪万博」が開催される予定。未来に向かって、より一層、ショパン音楽の魅力が人々を虜にしていきそうですね。
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