レポート
2026.10.16
海外クラシックNEWS~from ドイツ②

ミュンヘン・フィル、シャニの新首席指揮者就任コンサート

9月のドイツの音楽シーンから、ミュンヘンのレポートをお届けします。

来住千保美
来住千保美 音楽ジャーナリスト

音楽学/音楽ジャーナリスト。1991年からドイツのケルン、デュッセルドルフ、現在はミュンヘン在住。早稲田大学第一文学部ドイツ文学科卒業、ドイツのケルン大学法学部を経て...

9月17日に行われた、ミュンヘン・フィルのシャニ首席指揮就任記念開幕コンサートから。ソリストはアルゲリッチ© Sebastian Widmann

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9月17日、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の今シーズン最初のコンサートを聴いた(ミュンヘン・イザールフィルハーモニー)。ラハフ・シャニのミュンヘン・フィル首席指揮者就任記念コンサートだった。コンサートには各界の著名人も姿を見せ、演奏前にはミュンヘン市長が祝辞を述べた。

プログラムはラヴェル「ピアノ協奏曲」(マルタ・アルゲリッチp)、バーンスタイン《チチェスター詩篇》(テルツ児童合唱団メンバーとミュンヘン・フィルハーモニー合唱団)、ストラヴィンスキー《春の祭典》。

ラヴェルではアルゲリッチの情熱と管弦楽の交感を見事にまとめ、バーンスタインでは平和への祈りが感動的だ。シャニを指揮者の道に導いたという《春の祭典》では各パートの個性を際立たせながら大胆かつ緻密な構成が印象的だった。

また就任に合わせてシャニとミュンヘン・フィルの最初の録音が発売された。2026年1月末のコンサートで、プログラムはドビュッシー《牧神の午後への前奏曲》とシェーンベルク《ペレアスとメリザンド》。

ミュンヘン・フィルでは2022年のロシアによるウクライナ侵攻を受けて、当時の首席指揮者ヴァレリー・ゲルギエフが解任されてから首席指揮者が空席だった。シャニを迎え、新時代の幕開けとなる。今後の発展が楽しみだ。

バイエルン州立歌劇場、《ルサルカ》と《リゴレット》

バイエルン州立歌劇場《ルサルカ》© Geoffroy Schied
《ルサルカ》のカーテンコール。左からクリストフ・フィシェッサー(ヴォドニク)、ビストロム(ルサルカ)、ポペルカ(指揮)、チェルノホ(王子)© Geoffroy Schied

バイエルン州立歌劇場のドヴォルジャーク《ルサルカ》再演をペトル・ポペルカが指揮した(初日:2010年10月23日、所見日:7月25日、演出:マルティン・クシェイ、美術:マルティン・ツェートグルーバー、衣裳:ハイディ・ハックル、他)。オーケストラ・ピットを浅くし、管弦楽を大音響で引っ張っていくが、これにはすぐれた歌手が大前提だ(ルサルカ:マリン・ビストロム、王子:パヴェル・チェルノホ)。ポペルカは25年7月のヤナーチェク《カーチャ・カバノヴァー》再演で同オペラにデビュー、それだけで同歌劇場音楽総監督に決定した(2029年秋就任)。同歌劇場の三大柱はモーツァルト、ワーグナー、R.シュトラウスであり、チェコものでは同歌劇場音楽総監督としての能力はまだわからない。就任までの3年間の勉強と経験に期待したい。

7月31日、ヴェルディ《リゴレット》(初日:3月7日、指揮:マウリツィオ・ベニーニ、演出:バルバラ・ヴィソツカ、美術:バルバラ・ハニツカ、衣裳:ユリア・コルナツカ、他)の演出は、人物と人間関係の描写も不十分だ。ジルダ役ナデイーン・シエラ、マントヴァ公役ベフゾド・ダヴロノフは健闘しているものの、リゴレット役ルドヴィック・テジエは疲れ気味だった。

ドイツ劇場協会、2024/25シーズン統計発表

ドイツ劇場協会が最新の2024/25シーズンの統計を発表した。このうち、オペラ関係の作曲家と作品の上位は以下のとおり。

作曲家の演出数における上位3人は1.ヴェルディ(84)、2.モーツァルト(80)、3.プッチーニ(69)。公演数は1.モーツァルト(626)、2.ヴェルディ(608)、3.プッチーニ(502)。観客動員数は1.ヴェルディ(49万4023人)、2.モーツァルト(43万7529人)3.プッチーニ(35万5332人)。

作品では演出数で1. フンパーディンク《ヘンゼルとグレーテル》(30)、2. ビゼー《カルメン》(23)、3. モーツァルト《魔笛》(23)。公演数で1.《魔笛》(243)、2. 《ヘンゼルとグレーテル》(214)、3. ヴェルディ《椿姫》(182)。観客数で1.《魔笛》(23万52人)、2.《ヘンゼルとグレーテル》(15万4415人)、3.《椿姫》(15万1664人)。

ミュンヘンARD国際音楽コンクール

第75回ミュンヘンARD国際音楽コンクールの弦楽四重奏部門でカルテット風雅(落合真子、小西健太郎、川邊宗一郎、松谷壮一郎)が第3位に入賞した。このコンクールはARD(ドイツ公共放送連盟)が主催するコンクールで、世界中で最も権威のあるコンクールの一つだ。

来住千保美
来住千保美 音楽ジャーナリスト

音楽学/音楽ジャーナリスト。1991年からドイツのケルン、デュッセルドルフ、現在はミュンヘン在住。早稲田大学第一文学部ドイツ文学科卒業、ドイツのケルン大学法学部を経て...

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