レポート
2024.03.16
「ドクタースランプ」「力の強い女 ト・ボンスン」「花郎」~圧巻パフォーマンスの源【番外編】

韓国俳優の貴公子パク・ヒョンシク、鍛え上げた美声で陶酔させたファンミーティング

歌、ダンス、演奏……超人的な圧巻のパフォーマンスで我々を魅了してくれるステージ上のアーティストたち。類い稀な才能のみならず、そこには裏打ちされた確かな技術と並々ならぬ努力がある。本連載では、そんな海外アーティストにフォーカスし、彼らのパフォーマンスの源を探っていく。
連載の「番外編」として、今もっとも勢いのある俳優のひとり、パク・ヒョンシクさんの約7年ぶりとなるアジアファンミーティングツアー「PARK HYUNG SIK 2024 ASIA TOUR FAN MEETING SIKcret Time IN TOKYO」の夜公演のもようをお届け!

取材・文
鈴木啓子
取材・文
鈴木啓子 編集者・ライター

大学卒業後、(株)ベネッセコーポレーションに入社。その後、女性誌、航空専門誌、クラシック・バレエ専門誌などの編集者を経て、フリーに。現在は、音楽、舞踊、フィギュアスケ...

画像提供/WORLD ENTERTAINMENT

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2024年3月10日、東京・渋谷のNHKホールで約7年ぶりにパク・ヒョンシクのファンミーティングが開催された。「PARK HYUNG SIK 2024 ASIA TOUR FAN MEETING SIKcret Time IN TOKYO」と銘打ち、昨年9月の香港を皮切りに、ソウル、ジャカルタ、マニラ、東京の計5都市で行なわれた。東京公演は当初、夜公演のみだったが、申し込みが殺到したため、急遽昼公演が追加された。しかし、2公演の約7,000席は瞬く間にソールド・アウト。このことからも、絶大な人気を得ていることがうかがえる。

パク・ヒョンシクは、2010年に9人組ボーイズグループ「ZE:A(ゼア)」で歌手デビューし、今年で芸歴14年を迎える。歌手活動のみならず、ミュージカル、テレビ、映画と幅広く活躍、“韓国俳優の貴公子”という異名を持つ。時代劇と現代物、さらにはラブコメからホラーまであらゆる役を演じ分け、卓越した表現力を持つ一方、親しみやすい笑顔で見る者を魅了する彼の魅力が詰まった公演の、夜の部についてレポートする。

1991年11月16日生まれ、韓国・龍仁市出身。2010年1月、9人組ボーイズグループ「ZE:A(ゼア)」で歌手デビュー。グループではメインヴォーカルを担当。同年9月に日本で発売されたデビューアルバム『ZE:A!』はオリコンデイリーチャート3位、同年12月発売の日本語盤シングル『ラヴ☆レター』はデイリーチャート2位を獲得した。11年にミュージカル『オオカミの誘惑』、12年にはドラマ『愛の贈りもの』に出演。14年、ドラマ『家族なのにどうして』ではKBS演技大賞でナム・ジヒョンとともにベスト・カップル賞と男性新人演技賞を、翌年、ドラマ『上流社会』でSBS演技大賞のニュースター賞を受賞。その後、パク・ソジュン主演ドラマ『花郎』(16年)で準主役のサムメクチョンを好演、『力の強い女 ト・ボンスン』(17年)ではヒロインの相手役を務め、『ハピネス』(21年)ではハン・ヒョジュとダブル主演するなど、次々と話題作に出演。現在、Netflixで放映中の『ドクタースランプ』も好評を博し、国内外で絶大な人気を誇る。趣味はフェンシング、スキューバダイビング、特技は剣道と馬術、好きな食べ物は“辛い食べ物”
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オープニングから美しい日本語の歌を披露

冒頭、スーツに身を包んだパク・ヒョンシクがスクリーンに映し出された。日本のパスポートと航空券を取り出し、眼鏡をかけ、シリアスな表情で歩き出す。そこから会場が暗転、客席がどよめき始めると、ステージの中央からブラックデニムのセットアップに身を包んだパク・ヒョンシクが歌いながら登場。この粋な演出に、会場は一気に熱気を帯びた。

披露したのは、TBS系ドラマ『マイファミリー』の主題歌、Uru(ウル)の《それを愛と呼ぶなら》。ZE:Aで日本語盤シングルを発売していただけあって、難しいとされる日本語の歌詞を一つひとつ綺麗な発音で歌い上げていく。女性シンガーの高いキーをものともせず、3階席まで埋め尽くされた客席にしっかり届くような伸びのある歌声で会場を魅了した。……はずが、2番に入ると歌詞が出てこなくなり、会場に一瞬緊張が走ると、はにかみながら「実は歌詞が(モニターに)出ていなくて……」と正直に口にして笑いを誘い、再びBメロから歌い始め、サビ、アウトロと終盤はしっかりまとめた。実はモニターに映し出されるはずの歌詞がトラブルで最初から表示されていなかったそうだ。「練習はたくさんしていたので1番は覚えていました。でも2番からは記憶になくて……。1番を歌いながら2番に入るまでにはどうにかしてくれると期待していたけれど出なかったので(笑)、これは正直に言わなければと思いました」とのコメントに観客は爆笑。「でも、みなさんが愉快に受け取ってくださり、ご理解くださったのでありがたかったです」と感謝の気持ちも伝えた。昼公演は緊張していたそうだが、このトラブルによって緊張がほぐれたと言い、アクシデントに見舞われながらも機転を利かせて乗り切ったところはさすがである。

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