須田祥子が語るヴィオラの魅力〜世界でも珍しいヴィオラアンサンブルの響きとは?
全員がヴィオラ奏者で構成されるアンサンブルSDA48。ヴィオラの魅力を伝えるべくSDA48を立ち上げた須田祥子さんに、ヴィオラとヴィオラ・アンサンブルについてインタビュー! 2024年1月8日に開催される演奏会のプログラムや聴きどころについても教えてもらいました。
1963年東京生まれ。演奏家の活動とその録音を生涯や社会状況とあわせてとらえ、歴史物語として説く「演奏史譚」を専門とする。『音楽の友』『レコード芸術』『モーストリーク...
ヴィオラ奏者の須田祥子さんは、東京フィルハーモニー交響楽団の首席奏者、日本センチュリー交響楽団の首席客演奏者として、オーケストラで活動されるのと並行して、世界でも珍しいヴィオラだけのアンサンブル、SDA48(エスディーエーフォーティーエイト)の主宰者として活躍されている。
2024年1月8日に紀尾井ホールで行なわれるコンサートに向けて、ヴィオラ・アンサンブルの魅力、コンサートへの意気込みなどをうかがった。
ヴィオラ・アンサンブルの魅力は何の楽器なのかわからない響きが出てくること
——ヴィオラという楽器の魅力は、どんなところにあるのでしょうか。
須田 どの楽器よりも演奏者のパーソナリティがにじみ出やすく、音にそのまま直結する楽器だと思います。ヴァイオリンとチェロの中間で、楽器のサイズが中途半端ということもあって、目立ちにくいところはあるのですが、それだけにまだまだ皆さんにお伝えできていない魅力が、この楽器にはあると思います。
——どうしてSDA48を作られたんですか。
須田 ヴィオラだけのアンサンブルはありそうでないものなので、ひとつやってみるかと思ったんです(笑)。
クラシック音楽というのは、正装して小難しい曲を小難しい顔をして弾いている人たちのコンサートを聴きに行くもの、みたいな認識が強すぎるのではないか。そこを打破したい、面白いコンサートを増やして、ヴィオラの魅力を少しでも多くの人にお伝えしたい、と思いました。
試しにやってみたら、けっこうよかったんです(笑)。10年続いているヴィオラ・アンサンブルというのは、世界でも珍しいと思います。最近は、若いヴィオラ奏者も真似してくれるようになってきて、嬉しいですね。
2023年2月に発売されたSDA48のアルバム『Viola Infinity』
——ヴィオラだけのアンサンブルには、どんな魅力があるのでしょうか。
須田 聴いていて何の楽器なのかわからない響きが出てくることですね。本当にピアノの音みたいに聞こえたり、管楽器の音に聞こえたり。そういう不思議な感覚を、ほかの弦楽器よりも濃厚に味わえると思います。私たちはふだん、オーケストラでさまざまな楽器を聴き、オペラの伴奏では優れた歌手も聴いているので、そうした経験値をすべて投入して、いろいろな響きを出していきます。
いろいろな要素を含んだプログラムでヴィオラという楽器の魅力を発揮
——初めのころは、レパートリーをそろえるのもたいへんだったのではないですか。
須田 最初は、いろいろな曲をみんなで持ちよりました。SDA48という名前にちなんで、AKBメドレーとかも入れましたね(笑)。
そのうち、メンバーの飯田香さんがアレンジできるというので、お願いするようになりました。いまは経験値がどんどん増えて、年々素晴らしくなっています。飯田さんは、高校時代にはオペラを作曲したりしていたらしいんです。自分からは言わないんですが、お友達から聞きました。
——自分からは言わないのに、腕は確かという謙虚さは、いかにもヴィオラ奏者らしいですね。
須田 そうかもしれません(笑)。
——さて、来年1月のコンサートについて、聴きどころを教えてください。
須田 SDA48のコンサートで最初から変わってないのは、前半にクラシックの曲を取りあげ、後半にその他のジャンルの曲を取りあげるというスタイルです。
前半は、《ウィリアム・テル》序曲や《アルルの女》という、誰もが一度は耳にしたことのある名曲と、ヴィオラ合奏のために書かれたジェイコブの珍しくて面白い作品。後半は、メタリカ、X-JAPAN、アニメ『鬼滅の刃』の主題歌「紅蓮華」、そして『スター・ウォーズ』メドレーなどを演奏します。シンプルな歌ものから超絶技巧まで、いろいろな要素を含んだプログラムで、ヴィオラという楽器と合奏の魅力を知っていただけると思います。
——紀尾井ホールの大きさと音響もちょうどぴったりで、すてきですね。
須田 最高です。やはりホールに左右されるところはどうしてもあります。紀尾井ホールなら、どんな音でもいい形でちゃんとお客様に届くので、もう本当に嬉しいです。
今回は10人という編成なので、豊かな響きでお聞かせできると思います。行こうかどうしようか、迷っている方は、ぜひいらしてください。来ていただければ、絶対後悔はさせません。
日時: 2024年1月8日(月)14:00開演
会場: 紀尾井ホール
出演: SDA48 須田祥子、飯田 香、池辺真帆、落合なづき、加藤大輔、小中澤基道、生野正樹、冨永悠紀子、長石篤志、古屋聡見(ヴィオラ)
曲目: ロッシーニ(飯田香編)/歌劇《ウィリアム・テル》序曲、ジェイコブ/8つのヴィオラのための組曲、ビゼー(飯田香編)/《アルルの女》第2組曲、ほか
料金: 全席指定 5,500円
問い合わせ: キョードー東京(0570-550-799 平日11:00〜18:00/土日祝10:00〜18:00)
詳しくはこちら
関連する記事
-
ベルリン・フィルを間近で多角的に聴くことで、音楽の未来を切り拓く若い力を育てる!
-
新世代の旗手「ほのカルテット」 二刀流で切り開く室内楽とオーケストラのキャリア
-
神尾真由子が語るシューベルトの魅力、室内楽の難しさと醍醐味、合理的な考え方
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly