田代万里生の音楽ヒストリー① 音楽に囲まれて育ちピアノとヴァイオリンに熱中した幼少期
ミュージカルをはじめ、多彩なフィールドで活躍を続ける田代万里生さんが、自身の音楽のルーツをたどりながら、愛するクラシック音楽や音楽家たちと語り合う連載がスタート!
第1回は、クラシックに親しみながら育ち、ピアノとヴァイオリンに夢中だった幼少期の思い出を振り返っていただきました。
両親のホームレッスンを100万回聴いて育つ
両親の故郷である長崎県の佐世保で生まれて、生後すぐ両親と東京に引っ越したんです。母はフェリス女学院大学の音楽学部(ピアノ)出身のピアノ教師で、父は東京音楽大学の声楽科(テノール)出身の声楽家。二人はいつもピアノと声楽のホームレッスンをしていて、母だけでも60人くらいの生徒さんに教えていました。家の中には常にピアノと歌声が流れ、僕は隣の部屋で毎日毎日、誰かのレッスンを100万回聴いて育ったんです。
東京藝術大学音楽学部声楽科テノール専攻卒業。埼玉県立大宮光陵高等学校音楽科声楽専攻(テノール)卒業。音楽の教員免許(中学・高校)資格を取得。絶対音感の持ち主でもある。3歳から母よりピアノを学び、7歳でヴァイオリン、13歳でトランペットを始め、15歳からテノール歌手の父より本格的に声楽を学ぶ。ピアノを三宅民規、御邊典一、川上昌裕、吉岡裕子、声楽を直野資、市原多朗、岡山廣幸、野口幸子に師事。13歳のとき、藤原歌劇団公演オペラ《マクベス》のフリーアンス王子役に抜擢。大学在学中の2003年東京室内歌劇場公演オペラ《欲望という名の電車》日本初演で本格的にオペラデビュー。その後09年『マルグリット』でミュージカルデビューを果たす。
近年の主な出演作に『イノック・アーデン』『ラブ・ネバー・ダイ』『モダン・ミリー』『カム フロム アウェイ』『アナスタシア』『マチルダ』『エリザベート』『マタ・ハリ』『マリー・アントワネット』等。第39回菊田一夫演劇賞受賞。ミュージカルデビュー15周年記念アルバム「YOU ARE HERE」発売中。7月より『キャプテン・アメイジング』出演予定。
そんな環境で、僕がピアノを始めたのは3歳の頃。ただ、両親は僕を「音楽家にしよう」と思っていたわけではなかったですね。家にあるグランドピアノは、僕にとっては大人がこぞって触りにくる、大きなオモチャのような存在。ピアノって鍵盤を叩いたら鳴るから、触りたいじゃないですか。でも、いつも誰かがレッスンで使っているので、「ちょっとあっちに行っててね」と、言われてしまう……(笑)。だからこそ、「弾きたい」という気持ちはどんどん強くなって、母に頼み込んでレッスンを受けることになったんです。
最初の頃のレッスンは30分くらいでした。「お願いします」の礼から始まって、「ありがとうございました」の礼で終わるのがいつものパターン。そのうち発表会にも出るようになり、僕も蝶ネクタイに半ズボン、ハイソックスと革靴という衣装で参加。まだ足がペダルに届かなくて、足の台をつけてもらっていた時期です。5歳になると母のピアノの伴奏で、「童謡」とか「みんなの歌」をステージで歌うようになりました。人前で正装して歌うって、普通なら特別なことかもしれません。でも、いつも大人たちが燕尾服やタキシードで歌っているから、「僕も!」って感じで(笑)。もちろん家ではピアノの練習もしてました。レッスン室が空いていれば、幼稚園生の頃には1日5時間も夢中でピアノを弾き続けることも。だから僕にとって音楽は、「本気で思いっきり遊ぶこと」だったと思います。
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