
第19回ショパン国際ピアノコンクールの課題曲を解説! 前回からの変更点や意図は?

2025年10月に開催される第19回ショパン国際ピアノコンクール。世界中から642人のピアニストが応募し、動画審査と予備予選を経て85名が本選に出場します。第1ステージ、第2ステージ、第3ステージ、そしてファイナルのそれぞれの課題曲について、現地取材経験のある高坂はる香さんが解説! 審査方法も併せて確認して、コンクール鑑賞に備えましょう。

大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...
ショパン国際ピアノコンクールは、長い歴史の中、真の優れたショパン弾きを見つけるべく、課題曲を少しずつ変化させてきました。この10月に開催される第19回でも、ショパンの主要なジャンルを網羅する形は保ちつつ、細かな変更や新たな試みが取り入れられています。
そこでここではコンクールの課題曲と前回からの変更点、大まかな審査の流れをご紹介します。
第1ステージにワルツが初登場!
速いテンポでの表現のテクニックが試されるエチュードから1曲(前回の2曲から1曲となり、選択肢は減りました)、ゆるやかな歌の表現力が試されるノクターンまたはエチュードから1曲、バラード・舟歌・幻想曲という中規模の作品から1曲を演奏します。
前回は選択肢にあったスケルツォが外れましたが、これはおそらく、予備予選でスケルツォが弾かれたこと、また、新設された「バラード賞」の選考対象者を増やすためではないかと思われます。
加えて今回から、1次でワルツを演奏することになります。ショパン研究所所長のシュクレネル氏によると、「現代人は舞踏会の経験が少ないため、ワルツを理解するためのイマジネーションを有しているかを試す課題」を1次から取り入れた、とのこと。
過去数十年を振り返り、参加者の芸術的レベルの大きな変化を観察してきました。以前は、エチュードでテクニックを確認することが必要でしたが、今ではほとんどの参加者がひじょうに高い技術水準をもっているため、それほど重要ではなくなってきています。そこでエチュードの数を減らしましたが、ピアニストたちが「いちばんトリッキー」と呼ぶような作品を選びました。
第1ステージは審査員にとってもピアニストにとっても、できるだけいろいろな種類のスタイルや音楽の作り方を見せる場であるべきだという考えから、ワルツを取り入れました。もっとも多くの人を審査するにあたり、次のステージに残すかどうか判断するための十分な材料が必要だからです。
多くの審査員と意見を交わしました。ほとんどの方が「演奏者についてもっと多面的な情報を得られるのは良いことだ」と賛同してくれました。
ショパン研究所所長アルトゥール・シュクレネル
(取材:編集部)
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