秋刀魚の竜田揚げから思い起こす英仏問題
東京生まれの宇都宮育ち。高校卒業後、渡仏。リュエイル=マルメゾン音楽院にてフルートを学ぶ。帰国後はクラシックだけでは無くジャズなど即興も含めた演奏活動や講師活動を行な...
スーパーに秋刀魚の竜田揚げが売っていて、迷わず購入。なんて美味しいんだろうと、無心で食べました。秋刀魚最高!
魚のフライを食べるたびに思い出すのが、学生時代を過ごしたパリから遊びにいったロンドンのパブで食べた、もう3回は揚げなおしたのではないか? というほどドロドロでベチャベチャのフィッシュ・アンド・チップスです。
「イギリスは食べ物が美味しくない」という有名な偏見が、自分の中で確信に変わってしまった瞬間。
「流石にそれはハズレの店を引いたんだよ!」と言いながらも、「料理はフランスには敵わないよな!」と、嬉しそうに笑うフランス人たち。「これが噂にきく、フランス対イギリスのいがみあいかの一端か」と、納得した若き私でした。
先日公開された齊藤貴子さんによる『ヘンリー6世』の記事の中、中世にフランスをイングランド王が統治していた時代のお話で、すごく気に入ったのがこの一文。
これは今日なお、何かにつけて対立しがちな英仏の歴史的因縁の最たるもの。フランス側にとっては不愉快極まりない、苦い史実でしかないだろうが、イギリス側にしてみれば事あるごとに思い出し、口の中でゆっくり飴玉でも転がすみたいにいつまでも味わって浸っていたい、甘美なる過去といっていい。
ロッキングチェアでほくそ笑む、嫌味な英国紳士が目に浮かぶような文章! 敵はこうでいてくれなくちゃ! と、読みながら、鼻息荒くフランス人を気取る自分がおりました。
歴史的にいがみあう両国ではありますが(ジョークであることも多いです)、このグローバル社会、留学していただけの日本人がフランス贔屓というのは滑稽ですね。たった2泊のロンドン旅行の、一度きりのフィッシュ・アンド・チップスだったのに、誤解を抱いたままじゃいけない。
ということで、海外に行けるようになったら、ロンドンで美味しいフィッシュ・アンド・チップスを探しにいきたいと思います。
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