アコーディオン自慢その2:音の強弱や音楽表現のすべてを握る蛇腹
アーティストが自分の楽器の魅力をとことん語る連載「My楽器偏愛リレー!」。各楽器につき、3つの自慢ポイントを紹介して、次の奏者にバトンを渡します。今回は、ヴァイオリンの千住真理子さんよりバトンを受け取ったcobaさんによるアコーディオン自慢です。
1959年4月29日生まれ。3歳から音感教育で音楽に接し、18歳でイタリアに留学。アコーディオンの頂点を目指す学生が世界各地から集結する名門校、ヴェネツィアのルチアー...
呼吸する蛇腹の魔法
アコーディオンの中には、1000枚以上のリード(金属の薄い板)が仕込まれていて、左右の鍵盤やボタンを押すことで、そこに空気が送られて音が出ます。リードは人間でいうところの声帯です。
そして、この空気を送り込む部分こそがアコーディオンの心臓部である蛇腹です。人間の肺ですね。この蛇腹の操作によって音の強弱やアタック、クレッシェンドやディミヌエンドが操作できます。
昔タモリさんの音楽バラエティ番組で「アコーディオンの極意は蛇腹8年!」と発言して大ウケしたことがありますが、まんざら冗談でもなく、この蛇腹による空気のコントロールとキー操作のコンビネーションこそが、この楽器の音楽表現のすべてです。
ビブラートやポルタメント、あるいは蛇腹を高速で開閉させるベローズシェイクなど、現代音楽でよく使われる特殊な技法も、基本はすべてここから生まれてきます。蛇腹をいかにうまく開閉させて空気と同化できるかが、表現力のキーになってきます。弦楽器の弓と似ていますね。
昔から名アコーディオニストには左利きが多いと言われるのも、蛇腹を左手のみで操作するところに由来しているのでしょう。空気を自分の味方にして表現し尽くす技、これぞアコーディオンの醍醐味でしょう。ちなみに僕は左利きです(笑)。
アコーディオンの魅力を味わう作品
coba:家族の肖像
アルバム「The Accordion」は全曲アコーディオンソロで録音。
サビのメロディはアコーディオンを呼吸させるために書きました。楽器が自ら空気を吸いながら哀愁を謳い上げます。
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