109年前の今日、ラヴェルのオペラ《スペインの時》初演!
1911年5月19日、ラヴェルの初のオペラ《スペインの時》がパリのオペラ・コミック座で初演されました。演出はアルベール・カレ、多くのフランス語オペラを初演したベルギー人指揮者フランソワ・リュルマンが指揮を務めました。
原作は1907年にオデオン座で上演されたフラン=ノアン作(1873-1934)の道化芝居で、オペラ用の台本もフラン=ノアン自身が担当しました。
《スペインの時》は、正確には「オペラ」ではなくコメディ・ミュジカル(音楽的喜劇)。時計屋の主人トルケマダと、その美しい妻コンセプシオン、学生のゴンサルヴェと、ロバひきのラミロ、銀行家ドン・イニーゴ・ゴメス。5人の登場人物が、スペインの時計屋の店先で起こすドタバタを、一幕で描いています。
《スペインの時》は内容的には喜歌劇ふうだが、常に生き生きとした、音楽化された会話によって運ばれている。しかしいつもおなじようなレチタティーヴォ調というのではなく、詩的なことばをうたったり、愛を告げたりするくだりは、アリア調の流麗な旋律となっているが、古典的なオペラのように、ここはアリア、ここはレチタティーヴォというふうに区別されることはなく、自然にうつりかわってゆく。
(中略)
登場人物わずか5人だけ、場面も時計屋の店先という、いかにも他愛もない場面を使って、こんなに溌剌とした面白い作品をつくりあげたのである。
『作曲家別名曲解説ライブラリー ラヴェル』(音楽之友社)135-136ページより
「道化師の朝の歌」でご紹介したように、ラヴェル自身スペイン(正確にはバスク人)の血をひいており、常にスペインへのシンパシーを感じていました。この作品もフラメンコ調の節回しや、フィナーレの盛大なハバネラのリズムなど、随所にスペインのエッセンスが溢れています。
初演の様子は……
マスネのオペラ《テレーズ Thérèse》との2本立てだったが、《スペインの時》は大成功を博した。
『作曲家別名曲解説ライブラリー ラヴェル』(音楽之友社)136ページより
《スペインの時》と同時に、フランス初演されたジュール・マスネ作曲オペラ《テレーズ》(初演はモンテ・カルロで1907年2月)
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