音楽界の美食家といえば? ロッシーニと「きのこのモーツァルト」
大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...
音楽家には、グルメが多い。指の怪我を心配して包丁を使うことは避けそうなイメージもあるかもしれませんが、実際には、料理好きも多いように思います。コンサートが開催できないなか、得意料理のレシピを公開している音楽家もちらほら……。例えばこちらでは、ピアノ界のカレー好き代表、
さて、歴史上の音楽家でグルメとして知られる人物といえば、やはりジョアキーノ・ロッシーニ(1792-1868)でしょう。
食いしん坊だったのは子どもの頃からで、7歳ですでに、友人と教会の聖具室に忍び込み、礼拝用のワインを飲み尽くすといういたずらをしたエピソードが伝えられています。フォアグラとトリュフをのせたステーキが、彼の名前から「ロッシーニ風」ステーキと呼ばれることも有名です。
40代で早々に音楽界から引退すると、食とワインに情熱を注ぎ、晩年の10年間は毎週末、晩餐会を主催していたといいます。
そんなロッシーニの生涯について、美食の観点から紹介した『ロッシーニと料理』(水谷彰良 著)という書籍があります。
ここには、ロッシーニが食材を送ってくれた人へのお礼をしたためたた手紙も紹介されているのですが、「君はトリュフで僕を燃やし尽くす!」とか、「すべてがバラ色です。ゴルゴンゾーラが届きました!」など、おいしいものを受けとって興奮しすぎの感情がそのままにおさめられていて、とてもおもしろい。
この頃(19世紀中頃)が、ちょうどレストランでの美食文化が花開いた頃だったという時代背景や、同時代の他の作曲家、世間の反応なども紹介されていて、興味深いです。
ちなみに、この本によれば、ロッシーニは大好物のトリュフを、「きのこのモーツァルト」と呼んでいたそうです。かわいいですね。
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