読みもの
2020.10.23
高坂はる香の「思いつき☆こばなし」第32話

クラシック音楽好きの野口聡一さん、再び宇宙へ行く

高坂はる香
高坂はる香 音楽ライター

大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...

写真提供:JAXA/NASA

この記事をシェアする
Twiter
Facebook

宇宙飛行士の野口聡一さんが搭乗するスペースXの宇宙船「クルードラゴン」の打ち上げ予定日が、近づいてきました(10月23日現在、11月以降で調整中)。

続きを読む

クルードラゴンは、初めて民間の宇宙船として有人飛行を成功させ、この8月、地球に帰還したばかり。宇宙への商用輸送の実現は、これからの宇宙開発を促進するとして注目されています。

野口さんはこれまで、スペースシャトル(2005年)、ロシアのソユーズ(2009年)に搭乗。今度が3度目の宇宙飛行となります。

NASAジョンソン宇宙センター(JSC)にて、船外活動ユニットに関する訓練を行なう野口聡一さん(日本時間2020年9月1日)。写真提供:JAXA/NASA

そんな野口さんは、クラシック音楽がお好きです。

実は昨年、モスクワでお目にかかる機会がありました。任務のためロシア滞在中だった野口さんが、なんとチャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門を聴きにいらしていたのです。予選はインターネットで、ファイナルは3日間会場でお聴きになったとのこと。

ガラコンサートにもいらしていて、終演後、第2位に入賞した藤田真央さんに祝福の言葉をかけていました。

野口さん、趣味のチェロをいつか宇宙ステーションで演奏してみたい、ということですが、すでに電子ピアノの演奏には挑戦済み。

ご自身の本によると、「和音をバンッとおすと、その力の反動で体全体がうきあがって電子ピアノから離れてしまう」のだそう。なるほど、確かにそうなりますよね。それで結局、電子ピアノに体をくくりつけて弾いたんですって。

無重力の宇宙ステーションだと、鍵盤の重さ、軽さも違うんでしょうね。そもそも、アコースティックピアノの鍵盤は、うまく機能すらしないでしょう。さらにいえば、一歩外に出た空気のない宇宙空間では、楽器の音自体が、しない……。地球で楽器の音が鳴っていること自体が、ものすごく尊いことのように思えてきました。

「クルードラゴン」打ち上げの様子は、生中継されるそうです。がんばれ野口さん。いってらっしゃい!

高坂はる香
高坂はる香 音楽ライター

大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...

ONTOMOの更新情報を1~2週間に1度まとめてお知らせします!

更新情報をSNSでチェック
ページのトップへ