読みもの
2021.09.03
高坂はる香の「思いつき☆こばなし」第77話

CDジャケットや服装が気になる…ヤン・リシエツキさんのビジュアルインパクト

高坂はる香
高坂はる香 音楽ライター

大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...

©️Christoph Koestlin

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ポーランド系カナダ人ピアニストの、ヤン・リシエツキさんによる、ショパンのノクターン集がリリースされました。

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『ショパン: 夜想曲全集』
1995年、ポーランド人の両親のもと、カナダで生まれたピアニスト、ヤン・リシエツキ。13歳&14歳のときの音楽祭での演奏が、ポーランド国立ショパン協会からリリースされCDデビュー、15歳でドイツ・グラモフォンと契約し、17歳でショパン:練習曲集(全曲)をリリースしたリシエツキによるノクターン。

このジャケット写真、これまでのリシエツキさんのイメージとちょっと違って、ワイルドな感じ? なにかコンセプトがあるのだろうか? と思って中を見てみましたが、いたって純粋なノクターン集のようでした。

単に撮影時のライティングによるお顔の陰影、壁の(おしゃれ)ボロボロ感、そしてベージュの上着のおかげで一瞬タンクトップ姿にソラ目する、というさまざまな要素がそう思わせただけということが判明。……これを見てそう思うの、私だけですかね。

そもそもそんなふうに思ったのは、これまでリシエツキさんのアルバムのMVやジャケットが特徴的だったから、というのもあります。例えばショパンのエチュード集のジャケットは、撮影が長くかかりすぎて、なんとなく楽譜を投げたときの写真が採用された、といっていました。

『ショパン:練習曲集』
17歳のヤン・リシエツキによるセカンド・アルバム。ドイツ・グラモフォンにとってショパンの練習曲作品10&25全曲は、1972年のポリーニ盤以来の録音。

モーツァルトのピアノ協奏曲のMVも、屋上で弾くの気持ち良さそう、かつ、ピアノの音のするほうを見上げる人々の表情にじんとする内容で、印象に残ります。

今回もなにか、夜の森を歩き回るサバイバルな感じのMVでもあるのかなと思って探してしまいましたが、とくにそういうことはありませんでしたね。

ところで大人になって昔の話をしつこくされるのは嫌かもしれないと思いつつ、リシエツキさんといえば思い出す場面を。

14歳でDGからデビューして注目されたリシエツキさんが、ワルシャワの音楽祭に出演していたときのこと。私も現地に行っていてたまたまホテルのロビーで彼を見かけたのですが、年下の小学生くらいの女の子と、スーパーボールを激しくバウンドさせてキャッチするという遊びを、すごく楽しそうにやっていたんですよね。ああ、これ私も子供の頃やったわ、と思いながら眺めていました。ステージでは落ち着いた表情だけれど、まだ中学生だもんねと思ったものです。

それともうひとつ思い出すのは、ニュース番組かなにかの20分弱のドキュメンタリーで紹介されている映像です(公式動画ではないようなのでリンクは紹介しませんが、YoutubeでJan Lisieckiと検索すれば見つけられると思います)。

ここに登場するリシエツキ少年が、常に、いろんな色や柄のボーダーを着ているんですよね。どんだけボーダー好き?と思って見ていると、ご両親まで揃ってボーダーを着て出てくる、という。

あとで取材でお会いした時にその話をしたら、わざと狙ってボーダーを着ていたわけではないけど、自分と母親がボーダー好きなんだ、と言っていました。

高坂はる香
高坂はる香 音楽ライター

大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...

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