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2025.03.10
名曲解説100

30秒でわかるチャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲について30秒で丸わかり♪

寺西基之
寺西基之

1956年生まれ、上智大学文学部を卒業後、成城大学大学院で西洋音楽史を専攻し、修士課程を修了。大学院在学中より音楽評論活動を始め、CDライナー、演奏会プログラム、音楽...

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ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840〜93)のこの協奏曲は、世界中で愛奏されている名曲中の名曲ですが、意外なことに当初はなかなか理解されませんでした。彼は初演をロシアの名ヴァイオリン奏者アウアーに頼むつもりだったのですが、アウアーはこの曲の楽譜を見て演奏不能の作品とこきおろし、初演もお流れとなってしまいます。

完成から3年経った1881年、ウィーンにおいてブロツキーの独奏でようやく初演されましたが、このときも批評家ハンスリックから散々に酷評されるなど、不成功に終りました。しかし曲の真価を見抜いていたブロツキーはヨーロッパやロシアでこの作品の紹介に努め、それによって人々に受け入れられるようになったのです。

ロシア情緒たっぷりの楽想が技巧的な独奏と豊麗な響きの管弦楽のうちに生かされた傑作で、アウアーもあとになって認識を改めて自ら演奏するようになるのでした。

第1楽章の冒頭からいかにもロシア的な旋律が現れ、情感豊かな音楽が展開されていきます。カンツォネッタと記された第2楽章では哀愁を湛えた旋律をヴァイオリンが歌い上げます。最後は民俗舞曲風の活力をヴァイオリンの名技と結びつけた華麗なフィナーレで閉じられます。

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 二長調 作品35

作曲年: 1878年

演奏時間: 約35分

編成: フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、ティンパニ、弦5部、独奏ヴァイオリン

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1956年生まれ、上智大学文学部を卒業後、成城大学大学院で西洋音楽史を専攻し、修士課程を修了。大学院在学中より音楽評論活動を始め、CDライナー、演奏会プログラム、音楽...

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