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2025.05.10
名曲解説100

30秒でわかるモーツァルト:交響曲第41番《ジュピター》

モーツァルト:交響曲第41番《ジュピター》について30秒で丸わかり♪

寺西基之
寺西基之

1956年生まれ、上智大学文学部を卒業後、成城大学大学院で西洋音楽史を専攻し、修士課程を修了。大学院在学中より音楽評論活動を始め、CDライナー、演奏会プログラム、音楽...

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ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756~91)の交響曲創作の最後を飾るこの作品は、前作の交響曲第40番ト短調の暗い激情の世界とはまったく対照的に、端正かつ堂々たる構築性と輝かしい明朗さを持った交響曲で、その壮麗な作風ゆえにギリシャの最高神ジュピターに譬えた通称で親しまれてきました。とりわけ、ド-レ-ファ-ミのいわゆる“ジュピター音型”を主題として対位法的に構築される燦然たるフィナーレは、まさにモーツァルトの交響曲の最後を飾るに相応しいものといえるでしょう。

第1楽章は堂々たる構えを持ち、多くの楽想に満ちながらもそれらをソナタ形式のうちに論理的にまとめているところに、モーツァルトの円熟した筆遣いが示されています。緩徐楽章もソナタ形式をとり、弱音器付きの弦楽器を中心に澄んだ響きの綾が織り成されていきます。続くメヌエットも晴朗な性格を持っており、トリオではジュピター音型が予示されるのが注目されます。そしてそのジュピター音型を主題とするフィナーレはフガート書法をソナタ形式のうちに巧みに導入した生気溢れる楽章で、コーダでは楽章中の諸主題を多重フーガ風に組み合わせて圧倒的な高揚感を生み出しています。

モーツァルト:交響曲第41番 ハ長調 K.551《ジュピター》

作曲年: 1788年

演奏時間: 約30~40分(繰り返し部分の扱い方によって差異がある)

編成: フルート1、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦5部

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