インでもアウトでも使える、高音質ワイヤレススピーカー3選
屋外で音楽を聴くハードルが下がっている。スマートフォンやタブレットをBluetooth経由で接続し、自分のプレイリストを簡単にシェアできる。しかも、小型なワイヤレススピーカーとは思えないほど高音質なのだ。
アウトドアレジャーに限らず、過ごしやすくなる秋口まで活躍間違いなしのワイヤレススピーカーを、オーディオ・アクティビストの生形三郎さんに紹介していただいた。
もちろん自宅でじっくり音楽を楽しむにも申し分のないクオリティなので、音楽視聴環境をアップデートしたい、という方はぜひご一読あれ。
オーディオ・アクティビスト(音楽家/録音エンジニア/オーディオ評論家)。東京都世田谷区出身。昭和音大作曲科を首席卒業、東京藝術大学大学院修了。洗足学園音楽大学音楽・音...
毎日暑い日が続きますね。そんな夏だからこそ楽しめるアウトドアの季節になりました。バーベキューに川遊び、海水浴、花火などなど。それだけでも楽しさ満載ですが、そこにお気に入りの音楽があれば、きっとさらに盛り上がるに違いありません。そこで今回は、アウトドアでも楽しめるワイヤレススピーカーをご紹介します。
ワイヤレススピーカーって?
インドアはもちろん、アウトドアでも活躍するワイヤレススピーカー。簡単に言えば、スマホやタブレットと無線で繋いで音を出すことができるスピーカーです。今回ご紹介するものは、コンセントの電源が要らないバッテリータイプですので、ケーブルなどを一切使用せず、これ一台だけで、屋外でも場所を選ばずに大きな音でスピーカー再生を楽しむことができます。
どんな種類があるの?
- サイズ
手のひらサイズのものから、バッグくらいのものまで、さまざまな大きさのものがあります。今回は、アウトドアでもある程度の音量で楽しむことが目的ですので、比較的大きめのものを選んでいます。また、大きなものほど、必然的に搭載バッテリー容量も大きくなるため、連続使用時間が長くなる傾向があります。
- スピーカーの数
外からは見えにくいですが、コンパクトなものを除いて、ワイヤレススピーカーの内部には、最低でも2~3個のスピーカーユニットが内蔵されています。このスピーカーがどのように配置されているかで、音が広がる方向、音が積極的に届く方向が異なります。また、この数が多くなるほど、豊かで広がりのある音になります。
- コーデック
スマホやタブレットとBluetoothで接続する際には、コーデック(データ変換の種類)で再生音質が変わってきます。標準的な規格であるSBCやAACに加えて、ソニーのLDACやQualcommのaptXなどのコーデックに対応しているスピーカーは、より高音質で音楽再生を楽しむことができます。ただ、スピーカー同様に、スマホやタブレットもそれらのコーデックに対応している必要があります。
それでは、実際にワイヤレススピーカーを聴いてみましょう。今回は、デザイン性を特に重視したスピーカーで、価格も5万円程度で揃えた3機種を聴いてみました。
KEF MUO
KEFはイギリスを代表するスピーカーメーカーのひとつです。このメーカーは、スピーカーの振動板を同軸状に配置する技術に特化しており、楽器や人の声をシャープに描き出すことを得意とします。
メタリックなデザインが印象的なこのスピーカーは、2つのモードを搭載しています。一方のモードでは、高い音が本体上側からのみ聴こえます。これによって、音の干渉を抑えて、よりクリアな再生音が得られます。本体下側からは低い音が聴こえるので、本体を立てて使用することで、低い音が接地面で反射して増強され、高い音と低い音がちょうどよいバランスで聴けました。実際の音楽再生では、チェロの音色が伸びやかに鳴らされるとともに、ピアノやヴァイオリンの演奏も、細かいタッチや音色がよくわかる、クリアな再生音を楽しむことができました。
一方で、もう一つのモードは、本体上部と下部の両方から、高低すべての音を再生します。こちらは、今回の様に、屋外でなるべく広い範囲に音を届かせたいときに有効でしょう。
●使用ユニット: 2 x 50mm ミニチュア Uni-Q ドライバー、1 x Auxiliary Bass Radiator (ABR)
●入力: Bluetooth 4.0 with aptX® コーデック、3.5mm AUX、microUSB(充電およびファームウェアアップデート用)
●電源入力: 5V D.C. 2A
●バッテリータイプ: リチウムイオンバッテリー(充電時間/3時間、再生時間/最大12時間)
●寸法: (H x W x D): 80 x 210 x 60 mm (3.1 x 8.3 x 2.3 in.)
●重量: 0.8kg
KEF GRAVITY ONE
同じくKEFのスピーカーですが、こちらはあの「Porsche Design」となっています。置き方は横置きのみとなり、本体上部中央にボタン類が機能的に収められています。「パッシブラジエーター」と呼ばれる、低い音を増強するスピーカーユニットが2つ入っており、本体の下側から低い音が豊かに出てくる構造となっているのが特長です。そのため、接地面に低音が効果的に反射するので、サイズは「MUO」とさほど変わりありませんが、より積極的に低音を響かせるのが印象的です。また、スピーカーが真上を向いているので、今回のように全方位に万遍なく音を届けたい用途にもぴったりです。
曲を再生してみると、ヴァイオリンの音がスピーカー全体に響いて、まるで楽器本体が響くような豊かな音です。オーケストラを伴う声楽曲などは、屋外では弱音部の音量が少し聴き取りづらい部分もありましたが、チェロの箱鳴りもふくよかで、音が明瞭になり過ぎずに、心地よく音楽を楽しめます。
●使用ユニット: 50mm ミニチュア Uni-Qドライバー ×1、50mm フルレンジドライバー ×1、フォースキャンセリング仕様パッシブラジエーター(ABR)×2
●入力: Bluetooth 4.0 aptXコーデック、3.5mm(ステレオミニ)、microUSB(充電およびファームウェアアップデート用)
●電源入力: 5V D.C. 2A
●電源出力: (最大) 5V D.C. 1A
●バッテリータイプ: リチウムイオンバッテリー(再生時間/最大10時間)
●寸法: (H x W x D) 56 x 215 x 63 mm (2.2 x 8.5 x 2.5 in.)
●重量: 0.78kg
B&O Play Beolit 17
B&O Playはデンマークの老舗オーディオメーカー「Bang & Olufsen」のカジュアルブランドです。世界的なデザイナーを起用し、製品がニューヨークのMoMAに収蔵されるなど、そのデザイン性の高さは折り紙付きです。勿論、音質技術も群を抜いており、同社が開発したデジタルアンプは、日本を始め世界中のオーディオ製品に採用されています。
そんなB&O PlayのBeolit 17は、シリーズ中でも、もっとも大きなサイズのモバイル型ワイヤレススピーカーです。まるで小さなバスケットのような、スタイリッシュながらもキュートなデザインが目を惹きます。本革ストラップのアクセントが利いていますね。
その再生音は、演奏の細かい部分までを丁寧に表現してくれます。同時に、大きなボディを活かした力強い低音再生も備えるので、とにかくリッチで心地よい音が魅力的です。大小6個の内蔵スピーカーと、同社の高音質デジタルアンプの力が遺憾なく発揮されています。チェンバロやピアノは低弦までしっかりと鳴らされ、楽器のサイズ感までもがリアルです。弦楽器も演奏の手元が明瞭で、よくよく歌っています。パワーが充分なので、遠くからでもしっかりと音が聴こえました。
●使用ユニット: 5.5インチフルレンジドライバー x 1、4インチパッシブラジエーター x 2、1.5インチミッドトゥイーター x 3
●入力: Bluetooth、3.5mmステレオミニジャック
●電源入力: 充電用USB-Cコネクタ(最大3A)
●バッテリー: リチウムイオンバッテリー(充電時間/約2.5時間、再生時間/最大24時間)
●寸法: (H x W x D) 189x 230 x 135 mm
●重量: 約2.6 kg
結論
音が広がる範囲をある程度絞って、クリアな音で楽しみたい! → KEF MUO
コンパクトに持ち運びたいが、豊かな低音も楽しみたい! → KEF GRAVITY ONE
多少サイズが大きくなっても、とにかくパワフルかつ細部まで繊細に聴きたい! →B&O Play Beolit 17
以上、3機種の試聴レポートでした。
この夏は、ぜひともワイヤレススピーカーをお供に、楽しいアウトドアライフを満喫してみてはいかがでしょうか。なお、屋外でスピーカーを使用する時は、周囲の状況をよく見て、適切な音量で楽しみたいですね。
ヘンデル「 ヴァイオリンソナタ集」
演奏:hiro kurosaki & William Christie
メンデルスゾーン「チェロとピアノのための作品集」
演奏:Christian Poltéra/Ronald Brautigam
モーツァルト「ミサ曲ハ短調」「エクスルターテ・ユビラーテ」
演奏:バッハ・コレギウム・ジャパン
関連する記事
-
ペリカン独特のクチバシを表現!? 学んで工作して音で遊んだワークショップ
-
サルのシッポを学んで工作するワークショップ〜自作のサル人形でピアノ即興劇!
-
日本の森が抱える課題が音楽とのコラボで身近に? 森林セラピスト・小野なぎさ
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly