スヌーピーに見る音楽愛とクリスマスの名盤——城田優とオーケストラがイブに共演
細かすぎるベートーヴェンネタが見られる『ピーナッツ』
チャールズ・M・シュルツが生み出した世界でもっとも有名なビーグル犬、スヌーピー。ほかにも、チャーリー・ブラウン、ルーシーなど魅力的なキャラクターが登場する漫画『ピーナッツ』は1950年に誕生しました。2020年に生誕70周年を迎えた今も、変わらず世界中で愛されています。
実は、音楽との関わりも深い『ピーナッツ』。まずはなんと言っても、登場人物のひとり天才音楽家、シュローダー。彼はベートーヴェンの崇拝者! 漫画には楽譜が描かれることも多く、ピアノ・ソナタ《悲愴》の第3楽章や、《ハンマークラヴィーア》ソナタを演奏しているのが確認できます。現代のピアノでも弾くのが難しいハンマークラヴィーアを、トイピアノで弾きこなすシュローダーはやっぱり天才!
作者のシュルツ自身、ベートーヴェンの大ファンだったようで、ベートーヴェンがロプコヴィッツ伯爵に年金を打ち切られた話が出てくるなど、かなりマニアックなベートーヴェン情報も『ピーナッツ』の中でネタにしています(The Peanuts 1974年12月15日掲載分)。
ミュージカルやテレビアニメでも音楽とともに活躍するスヌーピー
スヌーピーたちはミュージカル俳優でもあります。1967年初演で、1999年再演時にはトニー賞2冠に輝いたミュージカル《きみはいい人、チャーリー・ブラウン》は、日本でも上演されている名作! 漫画を原作に、軽快な音楽が印象的な楽しい作品です。
1975年にはサンフランシスコで、別のミュージカル《Snoopy! the Musical》も創られています。
1971年、ジョン・ゴールデン劇場における初めてのブロードウェイ上演時のポスター
1982年、オフ・ブロードウェイ上演時のパンフレット
ほかにもたくさん音楽とコラボレートしてきた『ピーナッツ』ですが、とくに印象的なのは1960〜70年代のテレビアニメ・シリーズのために書かれた音楽の数々です。
担当したのはジャズ・ピアニストのヴィンス・ガラルディ。アニメの代名詞ともいえるこの曲は、どこかで耳にしたことがあるかも?
ヴィンス・ガラルディ・トリオ「ルーシー・アンド・ライナス」
クリスマスの名盤がコンサートで
なかでも、1965年12月9日にCBSで放映されたクリスマス特別番組のサウンド・トラックとしてスタジオ制作されたアルバム『スヌーピーのメリークリスマス(原題:A Charlie Brown Christmas)』は、ジャズ・アルバムにおいて歴代セールス2位を記録する超名盤です。
「もみの木」、「ザ・クリスマス・ソング」などの定番や、登場人物たちの合唱による「Christmas time is here」、ガラルディのソロ「エリーゼのために」……温かく、クリスマスムード満載のこのアルバム——これらの曲をオーケストラと映像で楽しめるコンサートが、2020年のクリスマス・イブに開催されます!
ピアニスト・作曲家の宮本貴奈が音楽監修を担当、栗田博文が指揮する東京フィルハーモニー交響楽団とピアノトリオの共演という豪華な編成。ゲスト・ボーカルとして登場するのはミュージカルなどで活躍中の俳優、城田優。アルバムのハイライト曲である「クリスマス・タイム・イズ・ヒア」や、後にスヌーピーの音楽監修を引き継いだデイヴィッド・ベノワによるバラード「ジャスト・ライク・ミー」など数曲を披露する予定。
当日はアルバム中の曲以外にも、古今のクリスマス・ソングがたっぷり演奏されるとのこと。クリスマスとスヌーピーの70周年を、コンサートホールでお祝いしてみてはいかがでしょうか。
日時: 2020年12月24日(木)18:30開演
会場: 東京文化会館 大ホール
チケット料金: 15,000 円(特典グッズつき)
(全席指定、税込、未就学児入場不可)
出演:
栗田博文 (指揮)東京フィルハーモニー交響楽団
宮本貴奈(ピアノ・音楽監修)
スペシャルゲスト: 城田優
ジーン・ジャクソン(ドラムス)
パット・グリン(ベース)
横浜少年少女合唱団
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