バーンスタインと戦後日本のかかわり〜親密だった日本のファン2人の手紙から知る
大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...
——スター指揮者であり、作曲家でもあった、レナード・バーンスタインが、日本の特別なファンと交わした手紙から、バーンスタインと戦後日本のかかわりを探る。
昨年、『Dearest Lenny: Letters from Japan and the Making of the World Maestro』(オックスフォード大学出版局刊)を出版した、ハワイ大学アメリカ研究学部教授の吉原真里さんによる、とても興味深いオンライン講座「愛するレニーへ、日本からの手紙 レナード・バーンスタインと戦後日本の物語」が、全3回にわたって開催されます。
This is Bernstein
バーンスタインは、第二次世界大戦中、ブルーノ・ワルターの代役としてニューヨーク・フィルを指揮してセンセーショナルにデビュー。やがて、“楽壇の帝王”と呼ばれたカラヤンと人気を二分するスター指揮者として活躍するようになりました。カラヤンとは対象的に、弟子やファンからレニーという愛称で呼ばれるような、気さくなキャラクターだったことも知られています。
作品や録音など、音楽的な偉業ももちろん重要ですが、その人間的な部分も興味深いアーティストです。ウクライナ系ユダヤ人移民の2世としてアメリカに生まれ、アメリカ人として最初の世界的スター指揮者となった経緯、同時代の巨匠との交流、そして妻や同性の恋人たちとの関係。
こうした部分を見ていくことは、単にゴシップ的な関心を満たすのではなく、その音楽性はもちろん、彼の生きた時代や社会の流れを知ることにつながるといえます。
冒頭に紹介した吉原真里さんの著書は、バーンスタインと長らく親密な交流を続けた2人の日本人の書簡を読み解き、戦後の日米関係の変遷と照らして、バーンスタインと日本のかかわりを考えるというもの。その内容については、出版によせての吉原真里さんのブログ記事をぜひ。
とても興味深い。でもこの本は英語で、日本語版が出るまでは少し時間がかかるらしい……。
だがしかし、今回の講座は、もちろんオール日本語。翻訳版を待つみなさまに朗報、ということになります。
吉原真里さんは、『「アジア人」はいかにしてクラシック音楽家になったのか?―人種・ジェンダー・文化資本』や、『ドット・コム・ラヴァーズ ―ネットで出会うアメリカの女と男』などの著書もあり、体験やら学術的な知識やらを絶妙に組み合わせて、ピシッと鋭く実社会を読み解くことに優れた方。しかも、某有名アマチュアピアノコンクールに出場するほどの腕前を持つピアノ弾きでもあります。
リアルタイム参加では、質問やコメントも可能。また、後日録画を視聴することも可能だそうです。
1968年ニューヨーク生まれ。東京大学教養学部卒、米国ブラウン大学博士号取得。ハワイ大学アメリカ研究学部教授。専門は、アメリカ文化史、アメリカ=アジア関係史、ジェンダー研究など。
日程:
2020年9月6日(日)第1回 太平洋をわたるマエストロ(c1947〜1979)
2020年9月13日(日)第2回 転換期の世界とマエストロ(1979〜1985)
2020年9月20日(日)第3回 畑を耕そう(1985〜)
時間: 各回とも10:00~11:30(90分)※受付開始30分前
講師: 吉原真里(ハワイ大学アメリカ研究学部教授)
モデレーター: 坂元勇仁(レコーティング・ディレクター、大阪芸術大学客員教授)
受講料: 全3回通し 4,500円+税 ※各回受講の設定はございません
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