クラウス・マケラを最初にシェフに指名 北欧の名門オスロ・フィルが10月に待望の来日
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
昨年10月に音楽監督を務めるパリ管弦楽団と待望の来日を果たし、大旋風を巻き起こしたクラウス・マケラ。パリ管には一昨年に25歳にして音楽監督に就任、2027年のシーズンからは、オランダの名門ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者に就任予定で、その傑出した才能で、世界の音楽界において台風の目ともいえる存在になっている。
この10月には、2020/21シーズンに24歳という若さでシェフに選ばれたノルウェーのオスロ・フィルハーモニー管弦楽団と来日を果たす。この20代の若き指揮者が名門オーケストラのシェフに立て続けに任命される❛マケラ・ショック❜とも呼べる快進撃のスタートとなったオーケストラだ。
オスロ・フィルはノルウェーの首都オスロを拠点に世界的な活躍を繰り広げる北欧の名門で、グリーグらが設立したクリスチャニア音楽協会の流れを汲む。1919年に創設以来、歴代の音楽監督にはヘルベルト・ブロムシュテット、マリス・ヤンソンス、アンドレ・プレヴィン、ユッカ=ペッカ・サラステなどの一流指揮者が名を連ねてきた。
なかでも1979年から23年間にわたり首席指揮者を務めたヤンソンスとは、EMIレーベルに数多くのレコーディングを行ない、そのクオリティの高さと充実ぶりが世界中の音楽ファンに知れ渡った。今回のマケラとの日本ツアーは、2014年にヴァシリー・ペトレンコと3度目の来日を果たして以来、実に9年ぶりの来日公演となる。
来日公演のAプロは、ショスタコーヴィチの《祝典序曲》と「ピアノ協奏曲第2番」、R・シュトラウスの交響詩《英雄の生涯》。《英雄の生涯》は、オスロ・フィルが長年国内外で演奏してきたレパートリーで、マケラの前任のヴァシリー・ペトレンコとの録音もあることから、練り上げられた演奏を聴かせてくれることだろう。
ショスタコーヴィチ「ピアノ協奏曲第2番」はディズニーの『ファンタジア2000』でも取り上げられた人気曲。息子のマキシムに捧げられ、第3楽章に「ハノン」の引用が出てきたり、美しい第2楽章を挟んでリズムの躍動と高揚感が味わえるチャーミングな作品。
そのソリストには辻井伸行が登場。2009年にヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールで日本人として初優勝して以来、国際的な活躍を続け、カーネギーホールをはじめパリのシャンゼリゼ劇場など世界の主要コンサートホールでのリサイタルや、欧米の一流オーケストラの定期公演にもたびたび招聘されている。この曲は、辻井が8月に初登場したフェスタサマーミューザKAWASAKI2023でも披露して完売公演となっており、マケラの指揮によって辻井のポテンシャルがさらに飛翔する予感。
一方のBプロは、シベリウス「交響曲第2番&第5番」。2022年にマケラはCDデビュー作となるシベリウスの交響曲全集をこのオスロ・フィルと録音しており、「マケラのシベリウスは衝撃的な勝利だ!こんなシベリウスの登場を誰が予想しただろうか?」(BBCミュージック・マガジン)、「音楽的エネルギーの源はリズムとアーティキュレーション、そして必然的な推進力からくるものであり、マケラはそれを完璧にマスターしている。極めて有望なデビュー作だ!」(グラモフォン誌)等、世界中で極めて高い評価を得た。フィンランド出身、シベリウス・アカデミーで学んだマケラのシベリウスを聴くチャンスを、逃すなかれ。
【曲目】
●Aプロ
ショスタコーヴィチ:《祝典序曲》
ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第2番[ピアノ:辻井伸行]
R・シュトラウス:交響詩《英雄の生涯》
●Bプロ
シベリウス:交響曲第2番
シベリウス:交響曲第5番
【ツアー日程】
10月18日(水) 【東京】東京芸術劇場コンサートホール Bプロ
10月20日(金) 【静岡】アクトシティ浜松 大ホール Aプロ
10月21日(土) 【名古屋】愛知県芸術劇場コンサートホールAプロ
10月22日(日) 【大阪】フェスティバルホールAプロ
10月23日(月) 【東京】サントリーホールAプロ
10月24日(火) 【東京】サントリーホールBプロ
10月26日(木) 【熊本】熊本県立劇場コンサートホールAプロ
詳しくはこちら
「シベリウス:交響曲第2番&第5番」[UCCD-45018] 3,080円(税込)
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