旅して楽しむ夏の音楽祭——日常から離れた体験をOFFの気分で
日本全国でクラシックの音楽祭がいくつ開催されているか、ご存知ですか? 実はこんなに活気づいているクラシック音楽祭。地域に根差した音楽祭は、普段コンサートホールで演奏会を聴くのとはまた違った味わいがあります。夏の旅先に、解放的な気分でクラシックを楽しめる「OFF」モードの音楽祭を加えてみませんか?
1963年埼玉県生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業、音楽之友社で楽譜・書籍・月刊誌「音楽の友」「レコード芸術」の編集を経て独立。オペラ、バレエから現代音楽やクロスオーバ...
夏らしい解放的な気分の中で、日常から離れて、ある特別なシチュエーションで音楽と出会う——すなわち夏の音楽祭を体験すること——それは人生最大の楽しみのひとつではないだろうか?
以下、わかりやすく見ていただくために、主要な夏の音楽祭を3つのカテゴリーに分けてみた。
1つめは、聴き手の通が注目する、という意味で、那須高原の美しい秋の新しい風物詩となるべく立ち上がった「那須クラシック音楽祭」、冒険心をくすぐる現代作品の祭典として夏の終わりにすっかり定着した「サントリーホール サマーフェスティバル」、NHK交響楽団コンサートマスター篠崎史紀が指揮者なしオーケストラを率いるなど豪華な内容に加え八幡や小倉の歴史文化も楽しめる「北九州国際音楽祭」、小澤征爾を中心に日本のザルツブルク音楽祭ともいえる存在感を誇る「セイジ・オザワ 松本フェスティバル(OMF)」、ギターというジャンルレスで自由な楽器を中心に興味深いプログラムが組まれる「Hakuju ギター・フェスタ」。
2つめは、多ジャンルで楽しめる、という意味で、首都圏のオーケストラが日替わりで登場し個性を聴き比べられる楽しみが特徴の「フェスタサマーミューザKAWASAKI」、3日間で87公演もの多彩なプログラムで21種類もの楽器のスペシャリストが登場する「仙台クラシックフェスティバル(せんくら)」。
3つめは、オープンな学びの場で聴き手もプロも共に成長できる、という意味で、最高の温泉と音楽のプロセスを体験できる「草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル」、世界有数の管楽器の祭典として見逃せない「浜松国際管弦楽アカデミー&フェスティバル」、バーンスタインが生涯の最後に設立した最大級の教育音楽祭「パシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)」。
*
夏の音楽祭全般について言えることは、他の季節のコンサートがONなのに比べると、OFF感が強いということである。みんなどこかリラックスしている。東京であろうと地方であろうと、みな鎧を脱ぎ捨てて、軽やかな身なりをして、仕事や勉強ではなく、良い意味での遊びの積極性を伴っている。そこがいい。
音楽はバラバラに散在しているのではなく、あるまとまりと意味をもって特別な場所に集まって磁場を形成し、その土地の文化や風土と結びつきながら、多様な人々を巻き込んでいく。こんなに素敵なことがあるだろうか?
ぜひ、この夏、気になる音楽祭を見つけて足を運んでみたい。
目次
- 10月13日(土)〜11月23日(金・祝)
北九州国際音楽祭(福岡県) - 8月22日(水)~9月1日(土)
サントリーホール サマーフェスティバル(東京都) - 8月18日(土)~9月7日(金)
セイジ・オザワ 松本フェスティバル(長野県) - 9月2日(日)~9月30日(日)
那須クラシック音楽祭(栃木県) - 8月31日(金)~9月2日(日)
Hakuju ギター・フェスタ(東京都)
- 9月28日(金)~9月30日(日)
仙台クラシックフェスティバル(せんくら)(宮城県) - 7月21日(土)~8月12日(日)
フェスタサマーミューザKAWASAKI(神奈川県)
- 8月17日(金)~8月30日(木)
草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル(群馬県) - 7月7日(土)~8月1日(水)
パシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)(北海道) - 7月31日(火)~8月5日(日)
浜松国際管楽器アカデミー&フェスティヴァル(静岡県)
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