インタビュー
2024.04.08
特集「クラシックの素朴な疑問に答えます」

指揮者って何する人なの?~指揮者・山田和樹がさまざまな疑問に回答!

読者の皆さんから募集した、クラシック音楽にまつわる素朴な疑問に答えていただく特集。オーケストラの中で唯一音を出さない音楽家「指揮者」に関する疑問もたくさんいただきました。
答えてくれたのは、モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団 芸術監督兼音楽監督、バーミンガム市交響楽団の首席指揮者兼アーティスティックアドバイザーなど、世界を股にかけて活躍するマエストロ山田和樹さんです!

ONTOMO編集部
ONTOMO編集部

東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

画像提供:ジャパンアーツ

この記事をシェアする
Twiter
Facebook

疑問に答える人

山田和樹(やまだ・かずき)
2009年第51回ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝。ほどなくBBC交響楽団を指揮してヨーロッパ・デビュー。同年、ミシェル・プラッソンの代役でパリ管弦楽団を指揮して以来、破竹の勢いで活躍の場を広げている。2012年~2018年スイス・ロマンド管弦楽団の首席客演指揮者、2016/17シーズンからモンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団芸術監督兼音楽監督、2023年4月からバーミンガム市交響楽団の首席指揮者兼アーティスティックアドバイザーに就任。日本では、読売日本交響楽団首席客演指揮者、東京混声合唱団音楽監督兼理事長、学生時代に創設した横浜シンフォニエッタの音楽監督としても活動している。

2023年はバーミンガム市交響楽団とのBBCプロムス復帰、ボストン交響楽団とのタングルウッド音楽祭でのデビュー、そして秋にはバーミンガム市交響楽団とのドイツ、スイスツアーを、2024年春にはヨーロッパ各地でコンサートを行う。また、サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団、ボストン交響楽団、トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団、フランス国立管弦楽団への定期的な客演、ベルリン・ドイツ交響楽団へのデビュー、その他オスロ・フィルハーモニー管弦楽団、スペイン国立管弦楽団、シカゴ交響楽団との共演を予定。2023年6月にはバーミンガム市交響楽団との日本ツアーも行った。
©Zuzanna Specjal

Q. 指揮者は何をしている人なのでしょうか? 指揮者のお仕事はどんなものなのでしょうか?

山田 基本的には、多くの演奏者の息を合わせるために存在しています。

息が合ってくれば、音も揃ってきて、アンサンブルの精度が上がることになります。

その上で、さらにより良い音楽になるように、事前にスコアを読んで勉強して、楽曲の構造の理解やイマジネーションを深めていく作業が必要になります。

そして、リハーサルでは、演奏会でどのような音楽を展開したいかを念頭に置きながら、ときに細かくときに大胆に曲を練り仕上げていきます。

演奏会では、独特の緊張感や集中力の中で、リハーサルしてきた音楽がさらに昇華されるように努めます。

さらに、首席指揮者や音楽監督としてその団体と関わる際には、一つ一つの演奏会のことだけでなく、長期間に渡る成長のステップを考えていくことが求められ、団体によっては運営面や財政面にも大きく関わることになります。

Q. 指揮棒を使う人と使わない人がいるのはなぜですか? また何が変わるのでしょうか?

続きを読む

山田 これは、何か決まりがあったりする訳ではありません。どう指揮するかはまったくの自由なので。

僕の場合は、オーケストラを指揮する場合には棒を使い、合唱を指揮する場合には棒を持たないことが多いです。合唱のように、人の身体が楽器となる声楽にあっては、自分も道具を用いないほうがより一体感が出る気がするからです。でも、オーケストラであっても緩徐楽章などを指揮する場合には、棒を持たないこともあります。

一般的に指揮棒を使うと、演奏者の目線はその棒の先を追うことになり、先端が尖っているので、その「点」や「線」がくっきりと見えやすくなるのだと思います。指揮棒を使わない場合は、手全体の印象として見られるので、その「点」や「線」に幅が出てくる感覚があります。

ONTOMOの更新情報を1~2週間に1度まとめてお知らせします!

更新情報をSNSでチェック
ページのトップへ