指揮者って何する人なの?~指揮者・山田和樹がさまざまな疑問に回答!
読者の皆さんから募集した、クラシック音楽にまつわる素朴な疑問に答えていただく特集。オーケストラの中で唯一音を出さない音楽家「指揮者」に関する疑問もたくさんいただきました。
答えてくれたのは、モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団 芸術監督兼音楽監督、バーミンガム市交響楽団の首席指揮者兼アーティスティックアドバイザーなど、世界を股にかけて活躍するマエストロ山田和樹さんです!
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
疑問に答える人
Q. 指揮者は何をしている人なのでしょうか? 指揮者のお仕事はどんなものなのでしょうか?
山田 基本的には、多くの演奏者の息を合わせるために存在しています。
息が合ってくれば、音も揃ってきて、アンサンブルの精度が上がることになります。
その上で、さらにより良い音楽になるように、事前にスコアを読んで勉強して、楽曲の構造の理解やイマジネーションを深めていく作業が必要になります。
そして、リハーサルでは、演奏会でどのような音楽を展開したいかを念頭に置きながら、ときに細かくときに大胆に曲を練り仕上げていきます。
演奏会では、独特の緊張感や集中力の中で、リハーサルしてきた音楽がさらに昇華されるように努めます。
さらに、首席指揮者や音楽監督としてその団体と関わる際には、一つ一つの演奏会のことだけでなく、長期間に渡る成長のステップを考えていくことが求められ、団体によっては運営面や財政面にも大きく関わることになります。
Q. 指揮棒を使う人と使わない人がいるのはなぜですか? また何が変わるのでしょうか?
山田 これは、何か決まりがあったりする訳ではありません。どう指揮するかはまったくの自由なので。
僕の場合は、オーケストラを指揮する場合には棒を使い、合唱を指揮する場合には棒を持たないことが多いです。合唱のように、人の身体が楽器となる声楽にあっては、自分も道具を用いないほうがより一体感が出る気がするからです。でも、オーケストラであっても緩徐楽章などを指揮する場合には、棒を持たないこともあります。
一般的に指揮棒を使うと、演奏者の目線はその棒の先を追うことになり、先端が尖っているので、その「点」や「線」がくっきりと見えやすくなるのだと思います。指揮棒を使わない場合は、手全体の印象として見られるので、その「点」や「線」に幅が出てくる感覚があります。
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