【Q&A】トランペット奏者・児玉隼人~いまもっとも輝く15歳の現在~未来
月刊誌『音楽の友』で、若手演奏家を紹介している連載「フレッシュ・アーティスト・ファイル」。当記事は雑誌のインタビューとはひと味ちがう切り口で、演奏家たちの素顔を紹介していきます。第11回は、トランペット奏者の児玉隼人さんにご登場いただきました。
1941年12月創刊。音楽之友社の看板雑誌「音楽の友」を毎月刊行しています。“音楽の深層を知り、音楽家の本音を聞く”がモットー。今月号のコンテンツはこちらバックナンバ...
2024年、第39回日本管打楽器コンクールトランペット部門において、(全部門での)史上最年少で優勝を飾った児玉隼人さん。今年は自身初のソロ・アルバムをリリース(2月発売、好評発売中)、7月からは全国ツアーを開催。ここでは、エレガントなトランペット演奏で多くの聴衆を魅了している児玉さんの素顔に迫りました。
名演奏の源はフルーツ!?
Q1 ニックネームを教えて。
あったかな……? ニックネームはないと思います。家族や友達からは「隼人(はやと)」、女子からは「児玉」って呼ばれています。
Q2 自身をどんな性格だと思う?
そんなに、普通かなって思いますけど(笑)。大人からは「なんかちょっと変」といわれることもありますが、中学、高校生はだいたいそうなので…… 。でも、同年代のなかでは自由に生きているほうかなと思います。
Q3 好きな食べ物はなに?
フルーツです。いちばん好きなのはマンゴー。父が九州出身ということもあって、時期になると知人が宮崎のマンゴーを送ってくれるのですが、これがとてもおいしい。オレンジやグレープフルーツなどの柑橘系や、梨やりんごも好きです。
Q4 本番前の勝負飯は?
勝負めし! という気持ちで食べてはいないけれど…… 強いていえばフルーツかな。本番前は緊張してあまり食べられなくて。ただ、糖分が足りないと貧血や酸欠で倒れてしまうので、チョコレートなどを意識して食べています。本番前はいつもと同じ気持ちではいられないので、あまり食べないかもしれません。
Q5 ベスト・コンディションの秘訣は?
以前は塩分の摂取量に気をつけていましたが、いまは気にしすぎないようにしています。しっかり食べておかないと、体力的にきつくなったりすることもあるので。でも塩分の高いものを食べすぎてしまうと、やはり翌日に唇がむくんで、フレッシュな状態ではなくなってしまう感じがあるので、本番前は塩分に気をつかっていますね。演奏旅行中も普段と同じようなメニューを食べるようにしています。
いつかオーケストラに入りたい
Q6 音楽家として、どのようなキャリアを想像している?
オーケストラに入りたいです。いまはソロ活動が中心ですが、オーケストラのトランペットの役割というものにすごく魅力を感じています。もし海外の楽団に入ったら、シーズン中はオーケストラを、オフシーズンにソロと室内楽に取り組む、というのもよいなと。とくに海外では、オーケストラの仕事量を自由に調整できる制度があって、ソロや室内楽の活動も並行しやすい聞きます。まだわからない部分もたくさんあるけれど、オーケストラには入りたいと思っています。
Q7 好きな作曲家は?
チャイコフスキーとマーラー。チャイコフスキーの書くメロディは本当にすごいと思います。この間の中学校の卒業式で、入場曲にチャイコフスキー「交響曲第5番」第4楽章が流れたときは、びっくりしたと同時に、ちょっとテンション上がりました(笑)。 チャイコフスキーの作品のなかではトランペットが活躍する「交響曲第4番」と「同第6番《悲愴》」が好きです。
マーラーも大好きです。金管奏者にとって、ものすごくおもしろい作品が多いですし、よいメロディもいっぱいある…… やっぱりマーラーはよいですよねえ。今年2月のソロ・リサイタルでは好きな曲である《花の章》を演奏しました。
Q8 いつか演奏してみたい曲は?
チャイコフスキー「交響曲第5番」をオーケストラで吹きたいです。コロナ禍のときは、YouTubeで「第5番」の音源をかけながら、トランペット・パートを一緒に吹いて、最後まで通すことをしていました。
いつかオーケストラのトランペット奏者として、ベートーヴェンとマーラーの交響曲を全曲制覇するのが目標です。
Q9 憧れの演奏家は?
トランペット奏者のなかでは、師匠でもあるラインホルト・フリードリヒ先生です。
この間ドイツ・ハンブルクで、ラインホルト先生も出演するJ.S.バッハ「ブランデンブルク協奏曲」全曲演奏会にいったのですが、出演者全員がすばらしく、これまでの人生で聴いてきた演奏会のなかでいちばんよかったと感じました。
そして、僕はピアニストの角野隼斗さんのファンでして…… 小学生のころにYouTubeで演奏を見つけ、リサイタルを聴きにいき、すぐに彼の演奏の虜になりました。
角野さんは、僕にもわかるくらいのスピードで急成長されていて、その演奏家としての姿勢、姿も尊敬しています。今年のリサイタルも聴きにいったのですが、とても感動しました。同時に、スゴすぎて、ショックも受けました。
Q10 「Q9」で挙げた角野隼斗さんのとくに好きな演奏は?
J.S.バッハがいちばん好きです。バッハをこんなに美しく弾く人がこの世にいるのかと思いました。
Q11 練習にルーティンはある?
低い音程をノータンギングで納得いくまで吹いて、その日の唇の調子をみます。そのあとは、気分が乗らないときは、YouTubeで好きな演奏を聴きながら吹いたり、今度聴きにいくオーケストラ作品の予習をしたりしています。ペダルトーン(通常音域よりも低い音程、以下児玉さん13歳ごろの動画)の基礎練習のときにも曲を流して聴いたりしています。
Q12 音楽をしていて、いちばん最高だと思う瞬間は?
やっぱり本番です。ホールにいるお客さまに拍手で迎えられて吹く、というのが、僕のいちばん好きな瞬間です。
本番の空間で一人 orみんなで吹くことも、演奏会を聴いて楽しむことも、幸せなひとときです。
息抜きにはスポーツ
Q13 趣味は?
サッカーとバスケットボール。漫才を観るのもすごく好きで、かまいたちさんが好きです。最近では狩野英孝さんの替え歌ネタがおもしろかったです。
Q14 1日お休みがあったら、なにをしたい?
ヨーロッパでお休みがあったら、いろいろな名所を巡る観光をしたいです。
日本にいるときの休日は、サッカー部やバスケ部の友達とスポーツをしたり、音楽でつながっている友達とトランペットを一緒に吹いたりしています。
Q15 最近読んだ本は?
藤倉大さんの『どうしてこうなっちゃったか』(幻冬舎)と、反田恭平さんの『終止符のない人生』(幻冬舎)を読みました。本を読むのはちょっと苦手で…… 半年とか1年かけて1冊を読む感じです。
Q16 好きな映画は?
『ニュー・シネマ・パラダイス』。作曲家のエンニオ・モリコーネの音楽がすばらしいです。大好きです。
Q17 会ってみたい作曲家は?
クセナキス。どんな気持ちであの前衛的な作品を書いたのか聞いてみたいです。彼はトランペットが活躍する曲をたくさん書いていて、以前にライヴで技術的に超難易度が高い作品を聴いたのですが、それがとてもおもしろかったのです。大好きなマーラーやモリコーネにも会ってみたいですね。
Q18 ドイツ留学の意気込みを教えて。(※4月からドイツに留学)
師事するラインホルト先生は、ソリストであり、オーケストラでも活躍する、僕の理想とする演奏家です。彼の近くで、いろいろなことを吸収したい。また、ラインホルト先生のもとに世界中から集まってきたレヴェルの高いクラスメイトたちと、同じ環境で学べることもいっぱい活かしたい。住む場所の近くには教会があって、そこでトランペットを練習させてもらいます。いつか教会のオルガンとも演奏してみたいですね。作曲家が暮らした環境で、本場で学べるというのは、自分にとってすばらしい体験になると思います。
Q19 20年後、どんな自分になっていたい?
音楽を楽しんでいられたらよいなと。あとパパになりたいです! よいお父さんになっていたいですね。
Q20 最後に、ファースト・アルバム『Reverberate』について教えて!
今回は自己紹介のようなかたちで、僕の15年の歴史をたどっていけるような選曲にしました。タイトル「Reverberate(意味:こだまする)」は、僕の名前(児玉)からとっています。もともと好きな単語で、ファーストアルバムに自分の名前にゆかりのあるものをつけたらかっこよいな、と。そして、どんどん響きわたる、こだまするというのが、録音内容との相性がすごくよいと考えてつけました。録音は軽井沢大賀ホールで行なったのですが、円い響きを感じられてとてもよかったです。
日時・会場:①7月22日18時30分・相模女子大学グリーンホール②7月26日13時30分・電力ホール③7月30日19時・さんびる文化センター プラバホール④8月1日18時45分・電気文化会館⑤8月8日18時30分・札幌コンサートホールKitara 小ホール⑥8月10日14時・住友生命いずみホール⑦8月17日14時・浜離宮朝日ホール
曲目:ガーシュウィン(ドクシツェル編)《ラプソディ・イン・ブルー》、他
問合せ:kodamahayato-info@eplus.co.jp
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