
ショパンコンクールで話題! 26歳のイ・ヒョク&19歳のイ・ヒョ兄弟とは?

2025年10月のショパン国際ピアノコンクールにて、兄弟揃って第3ラウンドへ進出し注目を集めたイ・ヒョクとイ・ヒョ。ロン=ティボー国際コンクール、パデレフスキ国際ピアノコンクール、浜松国際ピアノコンクールなど数々の国際舞台で存在感を示している2人のピアニストにインタビューしました。

東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
イ・ヒョクとイ・ヒョは、それぞれ国際コンクールで上位入賞を果たしている才能あふれるピアニスト。2025年のショパンコンクールでは、兄弟揃ってその存在が大きく知られるようになりました。
今回は、同年12月にピアノ・デュオ公演のため日本滞在中のお2人に、幼少期のこと、音楽家としての日々のルーティンなど、たっぷりお話しを伺いました!

2000年ソウル生まれ。モスクワ音楽院やウィーン国立音楽大学を経て、パリのエコール・ノルマル音楽院を首席で卒業。2016年パデレフスキ国際ピアノコンクール優勝、18年には浜松国際ピアノコンクール第3位、22年ロン=ティボー国際コンクール優勝。21年のショパン国
際ピアノコンクールファイナリスト。
【右】イ・ヒョ(弟)
2007年ソウル生まれ。5歳でピアノとヴァイオリンを始め、2014年にヴァイオリニストとしてモスクワ中央音楽学校に入学、16年からピアノも学び始めた。17年、ピアノを専門的に始めてまだ半年で第4回アスタナ・ピアノ・パッション国際コンクール優勝。エコール・ノルマル音楽院を卒業したのち、2025年ロン=ティボー国際コンクール第3位。
天才兄弟のバックグラウンドが気になる!
——お2人が音楽を始めた幼少期のことを教えてください。
ヒョク 3歳でピアノとヴァイオリンを始めましたが、ぼくたちの両親は音楽家ではないんです。
——ご両親は音楽家になることをのぞんでいたのでしょうか?
ヒョ 両親や祖父母からのプレッシャーはなかったと思います。ぼくたちは、ただ音楽が好きだったから始めたんです。両親は、ぼくたちがやりたいことをやらせてくれました。
ヒョク ぼくたちの本格的な音楽教育のはじまりはモスクワでした。2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、ロシアを留学先として選ぶ人は減ったと思います。2014年にモスクワに移ったときは、本物のロシアの音楽教育を受けられる最後のチャンスでした。幸運にも素晴らしい先生に恵まれて、素晴らしい決断だったと思います。
その後、パリのエコール・ノルマル音楽院で学び、今はポーランドに住んでいますが、ぼくの演奏はロシアとフランスの両方の音楽教育に根ざしている、と言えます。

ヒョ ぼくがモスクワに来たのは7歳の頃で、ヨーロッパでの時間が人生の大半になっています。重要なのは、どの国の学校かではなく、誰に学ぶかです。それぞれの街で感じる空気や街並みも、演奏家として音楽的解釈などに影響があると思います。
いろんな楽器を深く学ぶこと、音楽を聴くことは素晴らしいことです。
ヒョク 現代では、1つの楽器だけを演奏する音楽家が主流ですが、昔の大作曲家たちは、少なくとも2、3の楽器を弾いていました。モーツァルトは鍵盤楽器のほかに、フルートやヴァイオリンも演奏していました。
語学もチェスも一流!
——日々のルーティンとして、毎日決めてやっていることはありますか? ピアノの練習はもちろんだと思いますが、たとえば、語学のレベルを維持・向上させるためのコツってあるのでしょうか?
ヒョク 語学に関しては、ポーランド語は日常的に使っています。ワルシャワに住んでいるので毎日話すんです。ロシア語は流暢に使えます。フランス語は少し劣るかな……だからフランス語のポッドキャストやニュースを聴くようにしています。音楽以外でもどんなトピックでも構いません。ただ忘れないようにするんです。
今は、YouTubeでドイツ語を勉強中です。
——え、さらにドイツ語もですか……す、すごいです。
ヒョク 時間があるときにやる趣味です。睡眠時間を増やす人もいれば、ゲームをする人もいるけど、ぼくは言語を学ぶんです。
——趣味ですか……(一同驚愕)。やはり語学が堪能な方は脳の作りが違うのでしょうね。
ヒョク 都市部じゃないこじんまりとした町で生活していれば、誰でも語学は大抵のびると思います。
——いやぃゃ……(笑)!
ヒョ ぼくは、日本語は残念ながらまだ習得できていないので、日本の皆さんに申し訳ない気持ちです……。
——日本語を流暢に話してくださる日が、そう遠くない未来に……(感激)!
ヒョ ぼくにとって、朝起きてピアノにむかうことは、日常の習慣。それから、普通の生活——つまり料理をしたり、散歩に行ったり——、そうやって日々の暮らしに時間を使っています。音楽家にとって、生活環境も関係しています。ヨーロッパに住んでいて、よく旅もしますし、現地でその言語を話す人にも出会います。それが実際に、演奏表現においても役立つんです。
——チェスに関しては世界レベル。これはつまり……どういうことでしょう?!
ヒョク レートが2000点を超えると、もうアマチュア扱いではない。むしろマスターレベルに近いんです。でも、最高峰の“グランド・マスター”(国際チェス連盟(FIDE)が授与する最高の称号)になるまでは長い道のりです。
——グランド・マスター……
ヒョ 今も、鍛錬を重ねているところです。
——応援しています!

これから挑戦したいこと
——お2人とも、ヴァイオリンも大変堪能で、それだけでも驚きです。今後、ピアノ以外の何かの楽器を始めたいですか?
ヒョ そうですね……(じっくり考える)。時間があれば。でも、一度何かを始めると、最高を目指して極めたいと思うものなので、少し難しいかもしれない。もちろん、音楽知識を広げられるので、新しい楽器を始めるなら間違いなく良い選択になるでしょう。
ヒョク 実は、編曲にも興味があります。オーケストラの作品を、2台ピアノ用やソロ・ピアノに編曲するとか。そういう類のものです。フォーレの《パヴァーヌ》をソロ・ピアノ用に編曲して、初演はフランスのテレビで放送されました。いつか、弟と一緒に演奏できる2台ピアノ版も作りたいと思っています。
イ・ヒョク ピアノリサイタル
日時・会場:
①2026年9月8日(火)19:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
②2026年9月10日(木)19:00 京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ
曲目:チャイコフスキー《四季》、スクリャービン「ピアノ・ソナタ第5番」「幻想曲」、カプースチン「ピアノ・ソナタ第2番」
問:①神奈川芸術協会 045-453-5080
②京都コンサートホール・チケットカウンター 075-711-3231
※9月9日(水) 愛知県芸術劇場 コンサートホールにてリサイタル
カワイコンサート イ・ヒョ ピアノリサイタル
日時・会場:
①2026年10月28日(水)18:30 アクトシティ浜松 中ホール
②2026年10月30日(金)18:30 川口総合文化センターリリア 音楽ホール
※開演時刻はどちらも予定
問:カワイ音楽振興会 03-5485-8511
『音楽の友』2026年3月号では、イ・ヒョクさん、イ・ヒョさんにピアノ・デュオの醍醐味、ピアニストとしてお互いの音楽性がどう見えているのか、たっぷり語っていただきました。本当に互いを尊敬し合う兄弟愛が伝わってくる誌面となりました!
Artists Lounge ~今月のインタヴュー
フレッシュ・アーティスト・ファイル Vol.77
イ・ヒョク(p)&イ・ヒョ(p)
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