横山だいすけ&三倉佳奈が語るミュージカルの魅力とは?~音楽で感情の動きを表現する
横山だいすけさんと三倉佳奈さんにインタビュー!
2021年7月2日から上演されるミュージカル『オープニングナイト〜桜咲高校ミュージカル部〜』は、ミュージカル部創設にあたる奮闘を描いた作品。それぞれ熱血教師と保健室の先生を演じるお二人に、この作品の見どころ、そしてミュージカルとの出会いや魅力について、お話をうかがいました。
東京藝術大学大学院修士課程(音楽学)修了。東京医科歯科大学非常勤講師。オペラを中心に雑誌やWEB、書籍などで文筆活動を展開するほか、社会人講座やカルチャーセンターの講...
7月2日からスタートするミュージカル『オープニングナイト〜桜咲高校ミュージカル部〜』は、エリート進学校にミュージカル部を新設しようと奮闘する生徒と教師たちのすがたを描いた青春群像劇。完全新作オリジナルであると同時に、生徒役は、男性メインキャストのteam Blueと女性メインキャストのteam Redの2チームによるダブルキャストというスタイルも斬新な意欲作だ。
今回、両チームに出演し、主演の熱血教師テッペイを演じる横山だいすけさんと、テッペイが思いを寄せる保健室の先生ミオを演じる三倉佳奈さんにお話をうかがった。
“大人側”の内面まで描かれた教育現場のドラマを男女2チームで
——男女2チームのダブルキャストというのは、なかなかほかにない珍しいスタイルのオリジナル・ミュージカルですね。
横山 まったく新しいものを発信していくということで、お客様からどういう反応をいただけるのか、今からとても楽しみです。男性チーム、女性チームで舞台の空気感もまったく違うものになると思いますし、いらしてくださるお客様の層も変わると思うんです。その違いを楽しみながら演じたいと思っています。
三倉 例えば男の子のお子さんをお持ちの方なら男性チームの舞台をご覧になれば、ご自身のお子さんと重ね合わせる部分もあるかもしれません。そういういろいろな可能性のある作品だと思います。
——ミュージカル部を作りたいという生徒に学校が反対する、というのがストーリーの軸ですが、単純に子ども対大人の対立を描いているのではなく、生徒だけではなく先生や親サイドの悩みも描かれています。
三倉 大人たちもそれぞれにいろいろなものを抱えているんですよね。私は今育児中ですが、子どもたちがこれから中高生になって、さまざまなことに悩んだり壁にぶつかったりする、そのときの親としての寄り添い方についても考えさせられます。
横山 子どもたちが青春時代というかけがえのない大切な時間を過ごす中で、先生たちも学校の方針や親御さんたちの意見とか、いろいろなものに挟まれながら、子どもたちにとってより良い方向を目指して努力しています。そういう、普段なかなか伝わりづらい教育現場のすがたも作品の中に描かれています。
——そうしたある意味非常に普遍的なテーマを、ストレートプレイではなく、あえてミュージカルで表現するということについては、どうお考えになりますか。
三倉 ミュージカルは、感情や言葉を音楽にのせることで、より一層、記憶や印象に残るという面があるんじゃないでしょうか。
横山 僕はいつも、この音にこの感情を乗せてみたい、と考えながら歌っているんですが、メロディが変化することによって、その人物の感情が変わっていくところを感じられるのが、ミュージカルならではの醍醐味だと思います。また今回は、男女2チームあるので、表現がまったく変わってくるのも本作ならではの楽しみ方のひとつです。
三倉 それは、ミュージカルだからこその描き分けですよね。男女で歌い方だけでなく、動き方も変わってくるので。2チームで伝えられることも変化する。ぜひ両チームを見比べていただきたいです。
幼い頃から親しんでいたミュージカル
——ところで、お二人のミュージカルとの出会いについて教えていただけますか。
横山 僕は幼い頃、親戚のミュージカル好きのお姉さんに連れて行ってもらって、たくさんの名作といわれる作品を観ました。『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』『マイ・フェア・レディ』……そのとき聴いた歌は、今でもよく覚えています。
『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』『マイ・フェア・レディ』のサウンドトラック
三倉 私は4歳で劇団に入って、6、7歳の頃、劇団のお友だちの男の子が『美女と野獣』のカップの役で出演するというので、応援に行ったのが最初です。あまりにも非日常で、こんな世界があるのか! と驚いた記憶があります。その後もちょくちょくミュージカルは観に行っていました。
——そんなお二人が、実際にミュージカルの舞台に立つことになり、今、ミュージカルについてどんな思いを抱いていらっしゃいますか。
三倉 私は15年ぶりのミュージカル出演になりますが、自分のことを「ミュージカル女優」だと思ったことはなくて。今回のお話をいただいたときも、私ではふさわしくないのではと思いました。
でも、そういう感覚の私が演じるからこそ伝えられるものがあるのかもしれない、と考えました。この作品は、ミュージカルのいいところがたくさん詰まっている、いわばミュージカル入門編ともいえるもの。ですから、例えばこれまでミュージカルを敬遠してきたという方にもぜひ観ていただきたいです。
横山 僕は歌のお兄さんのときから、とにかく「感情を歌に乗せる」というのが好きで、ずっとそれをやってきました。ミュージカル俳優としては片足を踏み込んだぐらいですが、「歌で感情を表現する人」という意味では、ミュージカルでも大きな違いはないと思っています。ただ、踊りは苦手ですけど……。
三倉 またまた〜!(笑)
横山 いや、本当に。歌のお兄さんのときも、1人だけ居残り練習させられたぐらいなんですよ(笑)。
劇場で勇気や元気を与えたい
——では最後に、ミュージカル『オープニングナイト』への意気込みを聞かせてください。
横山 「ミュージカルって、急に歌い出したりしてちょっと……」と思っている方は多いかもしれませんが、この作品には、そういうリアルな感情も表現されているので、ぜひそんなふうにこれまでミュージカルを敬遠してきた方にこそ観ていただきたいです。
また、大人や子ども、それぞれの立場で思うところがきちんと描かれていて、どんな方でも共感できる瞬間がある作品だと思います。今、コロナ禍で多くの方がたいへんな日常を送っていると思いますが、ぜひ一歩踏み出して劇場にお越しください。前向きな気持ちやあたたかさ、元気などを持ち帰っていただけるように頑張ります。
三倉 何かをはじめたいけれど最初の一歩が踏み出せない方に勇気を与える、そういうメッセージが詰まった作品だと思います。ミュージカルが好きな方、観たことがない方、音楽が好きな方、そうでもない方、どんな方にも観ていただきたい作品です。また、親子で観に来ていただいて、見終わったあとに感想を話し合うのも楽しいのではないでしょうか。どうぞ老若男女問わず、いろいろな方に足を運んでいただきたいです。
日時: 2021年7月2日~5日(team Blue)。7月8日~11日(team Red)
会場: 日本青年館ホール
出演: 横山だいすけ、三倉佳奈、福井貴一、野々村真
team Blue
武藤潤(原因は自分にある。)、杢代和人(原因は自分にある。)、大倉空人(原因は自分にある。)、瑛、中谷優心、村上貴亮
team Red
星名美怜(私立恵比寿中学)、河村花、小泉遥香(超ときめき♡宣伝部)、前田悠雅(劇団4ドル50セント)、竹内夢、杏ジュリア(超ときめき♡宣伝部)
渡邉心結、湖月わたる、ほか
詳しくはこちら
関連する記事
-
つるの剛士の音楽教育論。音楽を楽しむ心を引き出すことは人生を楽しむ心を育てること
-
小泉純一郎×志位和夫——音楽愛とその原点、芸術文化の未来に私たちができることとは
-
昔とはまるで違う!? 「生きる力」を養う音楽授業の今
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly