金子扶生×山田薫~ロイヤル・バレエで活躍する2人が語る相思相愛の「バレエ×音楽」
2023年8月11日から13日に開催されるバレエのガラ公演「The Artists」。イギリスのロイヤル・バレエ、アメリカのニューヨーク・シティ・バレエ、アメリカン・バレエ・シアターに所属するスターダンサーたちが一堂に会する、貴重な機会です。
また、この公演では、クラスレッスンを公開する「Program 3 The Routine」や、新作による「Program 4 The Future」で、生演奏が付くのも大きな魅力。公演に参加するロイヤル・バレエのプリンシパルダンサー金子扶生さんと、ロイヤル・オペラハウス・オーケストラの山田薫さんに、「バレエと音楽」をめぐるお話を伺いました。
桐朋学園大学卒業。慶應義塾大学大学院を経て、パリ第4大学博士課程修了。博士(音楽学)。専門は西洋音楽史(特に19~20世紀のフランス音楽)。現在、慶應義塾大学、白百合...
イギリスの名門「コヴェントガーデン」で活躍する二人
——ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとして数多くの舞台に立っている金子さんですが、お好きなバレエ音楽や作曲家などを教えていただけますか?
金子 バレエですと、《オネーギン》(チャイコフスキーのさまざまな音楽を使用)や《ロミオとジュリエット》(プロコフィエフ作曲)のような悲劇、情熱がある作品が好きです。
英国ロイヤルバレエ プリンシパル。大阪府出身。地主薫エコール・ド・バレエにて学ぶ。受賞歴に、東京新聞全国舞踊コンクールバレエ・ジュニア部1位(2006年)、ヴァルナ国際バレエコンクールで金賞(2008年)、モスクワ国際バレエコンクール(2009年)、USAジャクソン国際バレエコンクールで銀賞(2010年)など。地主薫バレエ団を経て、2010年に英国ロイヤルバレエに入団、2021年よりプリンシパルに昇格。『白鳥の湖』、『くるみ割り人形』、『ロミオとジュリエット』、『ドン・キホーテ』といった古典作品への主演に加え、『眠れる森の美女』リラの精、『シンデレラ』仙女、『マノン』ラリッシュ夫人、『赤い薔薇ソースの伝説』ママ・エレナなど、主演以外の役所でも好演を重ねている。
©Lara Cappelli
特にこの2作では音楽と振付が一体化して感動を生み出しているのですが、ケネス・マクミラン(1929〜1992/20世紀イギリスを代表する振付家のひとり。1965年にロイヤル・バレエに振り付けたロミオとジュリエットは特に名作として、演じ継がれている)の作品では音楽だけが舞台上で流れているシーンも多く、逆にそれによって感情表現がより際立つところがあります。
金子 その点で、バレエは本当に音楽なしでは生まれない芸術だと思っています。私自身も、音楽なしで踊るのは本当に難しいんですね。自分で練習するときも、音楽がないと踊れないと思うぐらい、音楽に助けられるし、音楽が自分の踊りを生みだしてくれます。ですので、クラス・レッスンでも生演奏でピアノを弾いていただいたりするのは、本当にありがたいこと。やはり録音とはまったく違うし、舞台に出たときにもオーケストラを聴くとさらに感動するので、本当に恵まれた環境でバレエを踊らせてもらっているなと思います。
《ロミオとジュリエット》〜「バルコニーのパ・ド・ドゥ」をリハーサルする金子さん
——そのロイヤル・オペラハウスのオーケストラで演奏されているのが、山田さんですね。
金子 カーテンコールで最後に挨拶する時にいつも薫さんが見えるから、とても嬉しくて。
山田 下から応援しています(笑)。私はピットの中の壁側で弾いていて、そこから舞台も少し見える特等席なんですよ。
桐朋学園大学を卒業後、渡英。英国王立音楽院、ギルドホール音楽院修士課程修了。これまでに梅津南美子、原田幸一郎、リチャード・ディーキン、デトレフ・ハーンの各氏に師事。在学中より小澤征爾音楽塾プロジェクト、東京のオペラの森、サイトウキネンフェスティバル松本などに参加。ロンドンのウィグモアホール、セント・ジョンズ・スミススクエア等、英国及びヨーロッパ各地で演奏活動を行なう。2009年にはStone recordsよりCD「Fantasy」をリリース。ロイヤルフィルハーモニック管弦楽団第1ヴァイオリン副首席を経て、現在ロイヤルオペラハウス管弦楽団第1ヴァイオリン副首席奏者。
©Sam Simpson
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