おやすみベートーヴェン 第24夜【ボンでの少年・青年時代】

歌曲《嘆き》——短命の詩人ヘルティによる《愛されない男のため息》の第1稿

プレイリスト
2020.01.08

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

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監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ
ONTOMO編集部
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神楽坂を拠点に、取材・編集作業をしています。

短命の詩人ヘルティによる《愛されない男のため息》の第1稿 歌曲《嘆き》

短命の詩人ルートヴィヒ・ハインリッヒ・ヘルティ(1748~76)の詩作の多くは、友人ヨハン・ハインリヒ・フォスによって1783年にハンブルクで編纂出版されたが、ここにはフォスによる改訂の手が加わっていることが、ヘルティの原作研究からわかっている。

 

ベートーヴェンやのちのシューベルト(D.436 、1816年5月)は、この1783年版の詩に作曲している。これ以前に作曲家、音楽評論家のヨハン・フリードリッヒ・ライヒャルト(1752~1814年)がこの詩に曲付けした作品が1779年出版の『詩歌の花束選集 Poetischen Blumenlese 』にも見られる。ヘルティの付けた原題は「月に寄す」であった。

 

ベートーヴェンは2稿を残しているが、現在では第2稿が完成稿として知られている。3節からなる詩を全40小節で通作している。

 

「お前の銀の光が樫の木の葉から洩れ、おお、月よ、おお、月、あの時は微笑んでいた、朗らかな少年の僕に」の第1節は、ホ長調でゆっくりと柔らかに歌われる。

第2節(第16小節から)は一転してホ短調で非常にゆっくりとしたテンポで悲しい表情を湛える。

「今、お前の光が窓から差し込むとき、平安は微笑まない、青年のこの僕に」が3連音符奏の重い和音伴奏で歌われ、第3節「愛する友よ、すぐに照らすだろう、お前の銀の光が墓石を、その下には青年の僕の亡骸がねむる」は嘆きに満ちた穏やかな旋律となる。

解説:平野昭

シューベルト《嘆き》D.436

20歳のベートーヴェンによる情感豊かな《嘆き》、いかがでしょうか。この2年後に書かれた第2稿《愛されない男のため息~応えてくれる愛》は、2月に公開予定!

作品紹介

《嘆き》WoO113(2稿あり)

作曲年代:1791/92年(ベートーヴェン20歳)

出版:1888年、1990年(第2稿)

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