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2020.03.06
おやすみベートーヴェン 第82夜【天才ピアニスト時代】
「ピアノ・ソナタ第6番 へ長調」——ユニークな発想が光るピアノ・ソナタ
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1792年、22歳のベートーヴェンは故郷ボンを離れ、音楽の中心地ウィーンに進出します。【天才ピアニスト時代】では、ピアニストとして活躍したウィーン初期に作曲された作品を紹介します。
ユニークな発想が光るピアノ・ソナタ 「ピアノ・ソナタ第6番 へ長調」
「第6番」Op10-2は、なんとも不思議な曲ですよね。3連符と16分音符が入り乱れていたり、主調がヘ長調なのに再現部でニ長調が突然出てきて、突然♭系から#系に変わってしまったり……。
ちなみにこの曲は、提示部が66小節、展開部が70小節、再現部が66小節と、各部分がほぼ同じようなサイズになっています。こういうバランスも珍しいです。ハイドンやモーツァルトは、展開部を提示部の半分くらいの規模にしています。
「交響曲第5番《運命》」がハ短調で「第6番《田園》」がヘ長調。偶然ですが、ピアノ・ソナタも同じ並びで、ちょっとおもしろいですね。
――小山実稚恵、平野昭著『ベートーヴェンとピアノ「傑作の森」への道のり』(音楽之友社)45-46ページより
気が付きにくいところに、さりげない革新性が見られるという「第6番」。ベートーヴェンの発想の豊かさが感じられる作品ですね。
作品紹介
「ピアノ・ソナタ第6番 ヘ長調」Op.10-2
作曲年代:1796~97年(ベートーヴェン26~27歳)
出版:1798年9月エーダー社
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