「ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ長調 」——ヴァイオリンの名手からの助言を生かして作曲!
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1792年、22歳のベートーヴェンは故郷ボンを離れ、音楽の中心地ウィーンに進出します。【天才ピアニスト時代】では、ピアニストとして活躍したウィーン初期に作曲された作品を紹介します。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
ヴァイオリンの名手からの助言を生かして作曲! 「ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ長調 」
(作品番号12のヴァイオリン・ソナタの)3曲のいずれかが1798年3月29日に、ベートーヴェンのピアノとシュパンツィヒのヴァイオリンで初演されているが、おそらく作曲の過程でヴァイオリンの表現に関してシュパンツィヒの助言があったものと思われる。ベートーヴェンはボン時代に宮廷楽団や国民劇場でヴィオラ奏者を務めたこともあり、ヴァイオリン音楽の表現法にはある程度の知識と経験をもっていた。少年時代に、ベートーヴェン家に同居していた遠縁にあたる宮廷ヴァイオリン奏者フランツ・ゲオルク・ロヴァンティーニからヴァイオリンとヴィオラを習っていた。
――平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)250-251ページより
冒頭のヴァイオリンのパートはピアノが一人で弾いてもよさそうな音型ですね。ヴァイオリンに新しい役割を与えようとしたのではないかと思わせます。
――小山実稚恵、平野昭著『ベートーヴェンとピアノ「傑作の森」への道のり』(音楽之友社)61ページより
ヴァイオリンの名手シュパンツィヒとは、リヒノウスキー公爵邸で定期的に顔を合わせていたため、ヴァイオリンの作品を書くときには助言をもらっていたそうです。「第2番」の冒頭から、早速ベートーヴェンの新しい試みが見られますね。
「ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ長調 」Op.12-2
作曲年代:1797~98年(ベートーヴェン27〜28歳)
出版:1798年12月/99年1月
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