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2020.06.14
おやすみベートーヴェン 第182夜【作曲家デビュー・傑作の森】

「アンダンテ・ファヴォリ」——《ヴァルトシュタイン》のために書かれたベートーヴェンのお気に入り

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!

ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ

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《ヴァルトシュタイン》のために書かれたベートーヴェンのお気に入り「アンダンテ・ファヴォリ」

《ヴァルトシュタイン》ソナタは最初の完成時には、現在の「イントロドゥツィオーネ」と題された28小節のアダージョ・モルトではなく、205小節に及ぶ長大なアンダンテ楽章をもっていた。ソナタ全体の規模が、当時の常識からあまりにもかけ離れた長大なものになるという友人たちのアドヴァイスもあり、このオリジナルのヘ長調緩徐楽章はソナタから切り離され、それに代わる第2楽章、否、第3楽章への導入部分として短くい「イントロドゥツィオーネ」が作曲され、差し替えられたのである。

——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)238ページより

近々ご紹介するベートーヴェンのピアノ・ソナタでも1、2位を争う人気作品《ヴァルトシュタイン・ソナタ》。完成稿でも25分近い演奏時間をもつ作品です。もし、この「アンダンテ・ファヴォリ」が第2楽章に採用されていたら、さらに8分ほど長くなっていたことになります。

《ヴァルトシュタイン》出版後、この曲を気に入って、どうしても捨てがたかったベートーヴェンは作品番号なしの小品「アンダンテ・ファヴォリ(お気に入りのアンダンテ)」として出版しています。

作品紹介

「アンダンテ・ファヴォリ」WoO57

作曲年代:1803年(ベートーヴェン33歳)

出版:1805年5月美術工芸社

平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

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