2020.06.17
おやすみベートーヴェン 第185夜【作曲家デビュー・傑作の森】
「うずらの鳴き声」——神への感謝、信仰を呼びかける
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
ONTOMO編集部
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
神への感謝、信仰を呼びかける「うずらの鳴き声」
自由な4節からなるこの詩は、18世紀末頃に学校教師のザミュエル・フリードリヒ・ザウター(1766~1846)が作ったもの。
「聴いて、なんて可愛い鳴き声なの『神を畏れよ! 神を畏れよ!』と鳴く。うずらが私に呼びかける、緑の野原に潜んで、藁に隠れて『神を愛せよ! 神を愛せよ!』と」
このあとも、うずらの鳴き声は「神に感謝せよ!」「神に願いを!」「神を信じよ!」と呼びかける。
1803年の早い時期に作曲されている。うずらの鳴き声を模した鋭い付点リズムによるピアノの前奏は高く、そして低く、鳴き交わされる。
解説 平野昭
週刊「ベートーヴェンと〇〇」vol.2でもご紹介したように、いくつかの作品でベートーヴェンは、鳥のさえずりを作品に使用しています。
この曲で神への信仰を呼びかける、うずらの鳴き声を模した付点のリズムは、ベートーヴェンの多くの作品に現れます。
作品紹介
「うずらの鳴き声」WoO129
作曲年代:1803年(ベートーヴェン33歳)
出版:1804年初頭
おやすみベートーヴェン
2020.12.16
弦楽五重奏曲断章ハ長調——最終回! 穏やかな雰囲気に包まれた未完の絶筆作品
2020.12.15
《大フーガ》(4手)変ロ長調——最高傑作の内容を余すところなく反映させたピアノ連...
2020.12.14
「弦楽四重奏第16番 ヘ長調」第3、4楽章——重態のベートーヴェンが見舞い客の実...
2020.12.13
「弦楽四重奏第16番 ヘ長調」第1、2楽章——弟ヨハン邸宅の美しい環境で書かれた...
2020.12.12
「弦楽四重奏第14番 嬰ハ短調」第5〜7楽章——カールの将来についてベートーヴェ...
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly
新着記事Latest
2024.11.23
追悼ヤノシュ・オレイニチャク~巨匠ピアニストが信じたショパン音楽の可能性
2024.11.22
【Q&A】関 朋岳さん~新風を吹き込むヴァイオリニスト、ハチャトゥリアン・コンク...
2024.11.21
ウィーン・フィル×ムーティの「第九」200周年記念公演が映画に!
2024.11.21
小林海都、鈴木愛美が本選へ! 第12回浜松国際ピアノコンクール第3次予選結果
2024.11.20
シューマン「神と並ぶほどに愛してやまない君にすべて知ってもらいたい」結婚前にクラ...
2024.11.19
五嶋みどりの群馬県立盲学校訪問コンサート・レポート〜音楽を「音」以外でも伝えるこ...
2024.11.18
《ドン・カルロス》~無名の王妃が「道ならぬ恋」のフィクションで有名になるまで
2024.11.17
第12回浜松国際ピアノコンクール第2次予選の結果が発表!