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2020.07.14
おやすみベートーヴェン 第212夜【作曲家デビュー・傑作の森】

「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 第2、3楽章」——人気ヴァイオリニストによる初演の様子は

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!

ONTOMO編集部
ONTOMO編集部

神楽坂を拠点に、取材・編集作業をしています。

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ
編集協力:水上純奈

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人気ヴァイオリニストによる初演の様子は「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 第2、3楽章」

当時、アン・デア・ウィーン劇場の音楽監督でもあったウィーンっ子のクレメントは8歳で公開演奏デビューしてから天才的なヴァイオリニストとしてドイツ、ベルギー、そしてイギリスなどにも演奏旅行をするほど人気のある演奏家であった。自身の演奏会では必ず自作品もプログラムに組み込んでおり、事実、12月23日の演奏会でもベートーヴェン作品より、むしろクレメント作品が聴衆の喝采を得たようだ。『ウィーン演劇新聞』第2年次号(1807年)にはJ・N・メーザーという評者がこの演奏会について記している。

「優れたヴァイオリニストのクレメントは、他の素晴らしい作品とともにベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を演奏した。その独創性とさまざまな美しさにより格別の拍手喝采を受けた。特に声高のブラーヴォをもって受け容れられたのは、定評あるクレメントの演奏技巧と優雅さと彼の召使たるヴァイオリンによる力強さと確実さであった……(中略)……識者の意見は一致している。つまり、この作品の多くの美しさは認めるが、音楽の関連がしばしば全く断ち切られているように思われ、若干の平凡な箇所が際限なく反復されて聴衆を飽きさせてしまう」

——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)92-93ページより

この演奏会ではベートーヴェンの新作以外にも、クレメントの即興演奏も披露されました。それもあって、新作のヴァイオリン協奏曲よりも、クレメントの演奏のほうが聴衆の注目を集めたようです。

ヴァイオリンの美しい音色を思う存分味わうことのできるこの作品。昨日ご紹介した第1楽章から通して、全曲楽しんでみてください。

作品紹介

「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調」Op.61

作曲年代:1806年11月〜12月23日(ベートーヴェン35〜36歳)

初演:1806年12月23日

出版:1808年美術工芸社(ウィーン)

平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)

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