《憧れ》全4作——ゲーテの同じ詩で異なる歌を4回作曲!
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
ゲーテの同じ詩で異なる歌を4回作曲! 《憧れ》全4作
「憧れを知る人だけが、わたしの苦しみをわかってくれるのです」という有名な歌い出しは、ゲーテが1786年に出版した長編教養小説『ヴィルヘルムマイスターの修行時代』第4部第11章に出てくる詩。
不思議な魅力をもった薄幸の少女ミニョンと、竪琴を弾く老人との二重唱用の12行詩だが、ベートーヴェンはミニョンの独唱曲として作曲。同じ詩で1808年に3曲、そして1810年に1曲をまったく異なる音楽で作曲。
ベートーヴェンが気に入った詩行は「ああ、わたしを愛し、わたしを知っている人は、はるか遠くにいるのです」だったのだろうか。やっぱり、最後の作曲が良い! ト短調にこだわったのだ。
1回目の作曲:アンダンテ・ポコ・アジタート ト短調 4分の4拍子、11小節。
2回目の作曲:ポコ・アンダンテ ト短調 8分の6拍子、11小節。
3回目の作曲:ポコ・アダージョ 変ホ長調 4分の3拍子、11小節。
4回目の作曲:アッサイ・アダージョ ト短調 8分の6拍子、28小節。
解説:平野昭
同じ詩で4曲も作曲とは、ベートーヴェンはこの詩をとても気に入っていたのでしょうか。平野さんのオススメは4つ目とのこと。皆さんもぜひ聴き比べをしてみてください。
《憧れ》全4作WoO134
作曲年代:1808年初頭、1810年(ベートーヴェン38、40歳)
出版:1808年4月(3作)、1810年5月
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