26のウェールズ歌曲集——民衆の関心をひきつけるために民謡の編曲を依頼!
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
民衆の関心をひきつけるために民謡の編曲を依頼! 26のウェールズ歌曲集
1.エヴァンの息子サイオン(ニ重唱)
2.バンゴアの修道僧たちの行進(ニ重唱)
3.田舎娘
4.希望のない恋
5.わが恋は金色のドレスをまとい
6.モーナの美しい娘たち
7.おお、夜よ、私の頬の赤らみを隠しておくれ
8.さようなら、喧騒の町
9.エオリアン・ハープに寄せて
10.ネッド・ピューの別れ
11.マーチ・ミーガン
12.殿方よ目覚めよ、ご婦人も陽気に
13.不宰せな女
14.夢(ニ重唱)
15.すべてのものが眠るとき
16.カーデイガンの娘たち
17.酪農家
18.やさしいリチャート
19.クルーイドの谷
20.クロウタドリに寄せて(第2作)
21.キューピッドの親切
22.変わらぬ心(ニ重唱)
23.昔の調べ
24.300ポンド
25.別れのキス
26.おやすみ
18世紀後半になると、これらの民謡旋律に高名な作曲家による伴奏音楽をつけて出版しようという動きが出てきた。その中心的な役割を果たしたのがジョージ・トムスンだった。トムスンはスコットランドの官吏であったが、1790年ころから30年間にわたってイギリス各地の民謡を収集し、その旋律集を出版していた。トムスンは単なる旋律集では民衆の関心をひきつけるのは難しいと考え、優れた伴奏音楽をつけて、演奏会に置いても披露できるような民謡の姿を考え、ハンガリーのハイドン、ボヘミアのコジェルフ、パリのプレイエル、ウィーンのベートーヴェンなどに編曲を依頼したのである。
——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)264、265ページより
ウェールズは「歌の国」と呼ばれるほど、多くの民謡や讃美歌が誕生した地です。クリスマスによく歌われる「ひいらぎ飾ろう」も、原曲はウェールズ民謡です。素朴で美しい民謡の旋律が、ベートーヴェンの編曲によってどのように聴こえるか、楽しんでみましょう。
26のウェールズ歌曲集WoO155
作曲年代:1809年〜15年(ベートーヴェン39〜45歳)
出版:1817年
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