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2020.12.08
おやすみベートーヴェン 第359夜【最後の10年】

「弦楽四重奏曲第13番変ロ長調」第1、2、3楽章——初演は賛否両論! 演奏時間50分の超大作

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

48歳となったベートーヴェン。作品数自体は、これまでのハイペースが嘘のように少なくなります。しかし、そこに並ぶのは各ジャンルの最高峰と呼ばれる作品ばかり。楽聖の「最後の10年」とは、どんなものだったのでしょう。

ONTOMO編集部
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神楽坂を拠点に、取材・編集作業をしています。

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ

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初演は賛否両論! 演奏時間50分の超大作 「弦楽四重奏曲第13番変ロ長調」第1、2、3楽章

ベートーヴェン晩年の弦楽四重奏曲を出版順ではなく、作曲された順に並べると第12番、15番、13番、14番となります。第12番は4楽章構成で、番号を追うごとに楽章がひとつずつ増えていき、本日紹介する第13番は6楽章構成です!(詳しくは「作曲順にコンプリート・ベートーヴェン! 毎日聴くと見えてくる“本当の姿”」)。

初演で演奏された最終楽章は、あまりの難解さに聴衆の理解を得ることはできず、楽譜出版社からも「新たに別の簡潔なフィナーレを作ったほうがいい」と勧めらてしまいます。結果的にこの初稿の最終楽章は、切り離されて《大フーガ》Op.132として出版されることに。こちらは明後日紹介します。

今日は、初演の評価を見てみましょう。

「変ロ長調」四重奏曲の公開初演は失敗であった。当時の交響曲の規模を大きく上回る、演奏時間50分を要する6楽章構成の超大作は無謀すぎたのだ。確かに第2楽章の〈スケルツォ〉と第4楽章の〈アラ・ダンツァ・テデスカ(ドイツ舞曲風)〉はアンコールされるほど好評であったし、第5楽章の〈カヴァティーナ〉の美しい響きも聴き手に感動を与えたのだが、741小節という長大な終楽章〈フーガ〉を理解出来る聴き手はほとんどいなかった。

 

『総合音楽新聞AMZ』の初演評にある「中国語のように(我々にとっては)チンプンカンプン」という言葉は象徴的だが、さらに「各楽器が北極領域と南極領域で化け物じみた難しさで戦闘しなければならない」といった具合だ。

しかし、この作品をもう一度聴き直したいという人もいたようだ。弟ヨハンがこの数日後に書き込んだ「筆談帳」には「街中が新作の弦楽四重奏曲の話題でもちきりだ」「知り合いの美術商は四重奏曲を感動して聴いた、最後の曲までほとんど全てを理解したが、最終楽章を完全に理解するためにもう一度聴きたい、と言っている」とある。また甥カールも「ベームさんが心から感動していた」と書き込んでいる。

——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)195ページより

 

初演では、難解すぎるという講評以外に、好意的な称賛もあったようですね。明日紹介する後半もお楽しみに!

作品紹介

弦楽四重奏曲第13番変ロ長調Op.130

作曲年代:1825年3~12月(ベートーヴェン55歳)

出版:1827年5月アルタリア社(ウィーン)

平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)
ONTOMO編集部
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神楽坂を拠点に、取材・編集作業をしています。

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