レポート
2025.06.10
太田糸音、亀井聖矢、桑原志織、中川優芽花、久末 航、吉見友貴~6名の言葉とともにその活躍を振り返る

エリザベート王妃国際音楽コンクール 日本人ピアニストの心に残った挑戦の意味とは?

久末航さんが第2位、亀井聖矢さんが第5位に入賞を果たした、エリザベート王妃国際音楽コンクール・ピアノ部門2025。現地取材を行なった高坂はる香さんに、日本から出場した強い意志と個性を持つピアニストたち6名の活躍を、その言葉とともに振り返っていただきました。

取材・文
高坂はる香
取材・文
高坂はる香 音楽ライター

大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...

写真左から吉見友貴、桑原志織、久末航、亀井聖矢、太田糸音、中川優芽花(撮影:筆者)

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5月5日〜31日にベルギー、ブリュッセルで開催された、エリザベート王妃国際音楽コンクール・ピアノ部門。日本からは、太田糸音さん、亀井聖矢さん、桑原志織さん、中川優芽花さん、久末 航さん、吉見友貴さんというすでに活躍中の6名が参加、そのうえ全員セミファイナルに進出する展開に、7時間の時差をこえて連日ライブ配信を聴いていた方もいらしたかもしれません。

最終的には、久末 航さんが第2位、亀井聖矢さんが第5位に入賞を果たし、翌日には日本のニュースでも取り上げられたと聞いています。

記憶に残る場面をたくさん見せてくれた、6人の日本のピアニストたち。ここではそんな彼らの活躍を振り返りたいと思います。

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まずはセミファイナリストとなったお二人。

中川優芽花さんは、4月末にショパンコンクール予備予選で演奏し、5月上旬に本大会への進出が発表され、間を置かず、このエリザベートコンクールで演奏することになりました。

振り返ると、一次のリサイタルで聴かせたいろいろな声色の自然な歌、セミファイナルは、細やかでキレの良いタッチ、クレイジーな顔ものぞかせながら一人エキサイティングな掛け合いを繰り広げたプロコフィエフのソナタ3番、一度として同じ表現のない表情豊かなモーツァルトの協奏曲など、記憶に残る瞬間がたくさんあります。天才肌と思える音楽づくり、溢れるほどの表現で会場での人気も高く、ファイナリストとして名前が呼ばれなかったときは信じられませんでした。

ただご本人は結果発表の前も「あまりドキドキしていないです」と話し、発表後もその穏やかな雰囲気を大きく変えることがなかったのが印象に残ります。きっと彼女は、自分の音楽を聴いてもらう場所を求め、肩の力を抜きながらも、できることに本気でまっすぐ取り組んでいく、そんなスタイルのピアニストなのだろうと思いました。

中川優芽花のセミファイナルにおける舞台。一次では、モーツァルト「ソナタ第3番」よりアレグロ、ショパン「スケルツォ第3番」「エチュードOp.10-8」、ラフマニノフ「音の絵 Op.39-9」を演奏。セミファイナルのリサイタルでソコロヴィッチ「ピアノのための2つの練習曲」、シューマン「幻想小曲集Op.12」、プロコフィエフ「ソナタ第3番」、モーツァルトのコンチェルトは第9番を演奏 © Alexandre de Terwangne
ロビーにいると次々と聴衆から話しかけられ、写真撮影をリクエストされる人気ぶり!(撮影:筆者)

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