サルのシッポを学んで工作するワークショップ〜自作のサル人形でピアノ即興劇!
生物を題材にした子どものためのピアノ曲集を作るために、音楽之友社と作曲家の春畑セロリさんが企画した、題して『いきものスケッチブック』プロジェクト。
生き物とアートのスペシャリストも講師にお招きし、ワークショップを通じて、子どもたちに表現のアイデアをもらおうという試みです。
第4回のテーマは、サル。近い存在でありながら、知らないこともいっぱい。今回のワークショップでは、サルのシッポの色や形、役割を伝えつつ、最後は音楽つきの即興劇を発表!
1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...
サルのイメージを膨らませてみよう
作曲家の春畑セロリさんと一緒に、生き物のことを考えながら、子どもたちに音や色を使って自由な想像・創造をしてもらうプロジェクト「いきものスケッチブック」。今回も生き物ハカセの蝦名元先生、そして色や形を描いてステキに表現する方法を教えてくれる秋田彩子先生と一緒に、楽しく学びます。
ワークショップ4回目のテーマは「サル」です! バーン
集まった子どもたちに、まずは頭の中で自由にサルたちを遊ばせてもらいます。
セロリさんがピアノ曲集「ゼツメツキグシュノオト」から1曲、「ニホンリス」を弾いてくれました。なぜリスの曲かって? この曲集には実はサルがいないからです(笑)。
でも、リスとサルはどちらもヒュルヒュル〜っと木を登りますよね。
「この曲をサルっぽく弾いてみるよ! サルの動きを想像しながら聴いてみてね」と、セロリさんは付点リズムバージョンにアレンジして弾いてくれました。
気分が高まってきたところで、さらにイメージを膨らませてもらいます。
「今ピアノを聴いて思い浮かべたサルのシッポはどんなだったかな……? みんなが想像したサルのシッポを絵に描いてみましょう!」(秋田先生)
ここで、秋田先生が描いた「シッポのないサル」の絵に、自分で自由なシッポの絵を描いてもらいました。みんな、思い思いのシッポのイメージがあるようです。
シッポに注目!
本物のサルたちは、どんなシッポをしていたっけ……ここで、蝦名先生の登場です。
みんなにスライドを見てもらいながら、サルの種類やそれぞれのシッポの特徴を教えてもらいました。
世界にはなんと、220種類ものサルがいるそうです。陸地に住んでいるサルもいれば、木の上で暮らすサルも。ちなみに、楽しい歌でおなじみの「アイアイ」は、マダガスカル島にいるサルですが、現地では「縁起の悪いサル」なんだそうです。
「え〜、かわいそう…」(セロリさん)
日本にいる野生のサルはたった1種類。そうです、おなじみ「ニホンザル」!
サルはアマゾンやアフリカ、東南アジアなど温暖な地域に暮らしていることが多いのですが、日本では雪国に生息するサルもいますよね。そう、なんと世界でもっとも「北」に暮らしているという、特殊なサルなのだそうです!
「だから温泉に入るの?」という子どもたちからの質問も。よくテレビなどでも見ますよね。
「あれは長野県の地獄谷というところの温泉に浸かっているサルですね。日本でも温泉に入る野生のサルが確認されているのは、あの地域だけなんです。青森県にいるサルが、世界で一番『北』にいるサルなんですよ」(蝦名先生)
ところで、ニホンザルのシッポはとっても短くて、チョコンとついています。寒い場所では、手足の先っぽが冷たくなりますが、シッポも長いと冷えて凍えてしまいます。それでニホンザルのシッポは、長い時間をかけて、だんだん短くなっていったそうですよ。
蝦名先生は、オラウータンにはシッポがないこと、クモザルというサルはとても長いシッポを手足のように器用に使えるということ、そしてワオキツネザルはシッポを使ってコミュニケーションしたり、縄張りを示したりするということを、写真や動画を使って教えてくれました。
「いろんな毛や模様のシッポをもったサルがいます。そしてシッポの使い方もいろいろなんです」(蝦名先生)
「シッポを音にしたら、こんな感じかな〜」
クモザルの長〜いシッポ、ワオキツネザルのふわふわのシッポ、ニホンザルの短いシッポを、セロリさんが長〜い音階やチョロンと鳴る装飾音のような音型にして、ピアノで弾いてくれました。
サルの操り人形を工作!
「みんな、サルのシッポはいろいろあったね。じゃあ今度は、長ーいふわふわのシッポでケンカしたりじゃれあっ
ということで始まったのは、
「下絵はワオキツネザルがモデルになってるけど、
この秋田先生のキットが優れもので、仕上げに細い針金や糸を使うことで、シッポが自在に動きます。みんな集中して、オリジナルのサルを作ってみました。
みんなのオリジナル・ワオキツネザルが完成しました!
myサルを連れて、ピアノの前に集合〜!セロリさんのピアノに合わせて、シッポの準備運動。早く〜 ゆっくり〜 いろいろ動かしてみました。
「じゃあこんどは、3人ひと組にわかれて、ワオキツネザル劇場をやろう! 一人はピアノを弾いてもらい、二人は音楽に合わせてサルを動かしてね。舞台は森です。二人のサルたちは、シッポでお話してみてね!」(セロリさん)
秋田先生が描いてくれた森の絵を背景に、みんなのワオキツネザル劇場開演!セロリさんの伴奏にのって、ピアノの子は即興的に音を出します。その音を聞きながら、二匹のサルはじゃれあったり、ケンカしたり、仲良くなったり。それぞれの物語を演じました。
今回もいろんな学びと遊びがたくさん!サルにはたくさんの種類がいて、いろんなシッポの色・形・役割があることを知りました。そして、カラフルなオリジナル・サルを工作して、音に合わせて即興劇! みんな上手にできました♪
ワークショップの動画(一部)
セロリさんの音のモチーフ
「今回はしっぽに着目してみました! ワオキツネザルはシマシマ模様。そこで白鍵と黒鍵を交互に使ってみた!? うーん、音としてはあまり意味ないかなぁ? クモザルのしっぽは長くて器用そうで、ちょっと不気味。ニホンザルはすごくちっちゃくてカワイイしっぽ。で、オランウータンのしっぽは……? ない!?」
学校では各科目を1つの授業として学んでいますが、実際の社会で
このワークショップでは、ある1種類の「いきもの」の特徴を知り(理科)、表現する(美術・音楽)という流れで思考することができます。もちろん、表現する(美術・音楽)ために、
私は両親を早くに亡くしたのですが、そのとき、幼少期から続けてい
美術、理科、スポーツ、文学など、何であっても、子どもたちが“生きる力”となるものを見つけられるよう、心から願っています。このワークショップや普段の学校、ピアノ教室での学びが、“生きる力”につながっていくき
このような素晴らしい音楽之友社の企画に少しでも協力できること
——きたいピアノ教室 北井かえ
このワークショップでは、解を得ることではなく、五感を使って対象の未知数と広がりを探り、表現する中で、あそびながら まなぶことの可能性を追求しているように思います。
我がままにあそび まなんでいたら、いつの間にかcalling (天職)と profession(専門職)と job(賃仕事) がかなりの部分一致していた、という恵まれた状態に自分はいると思いますが、それは歴史的にも地理的にも本当に稀有で有難いことだなぁと、年を重ねるにつれしみじみと思います。ワガママにときめき、没頭し、まなぶ経験を重ねることは、これからの世界を生きる子どもたちにとっても、その心身を培うものになるだろうと、これもますます確信を深めつつある今日この頃です。
子どもたちも「先生」も、みんながあそんで まなべるワークショップを、私も準備から現場まで毎回楽しみにしております。
——秋田彩子
——蝦名元
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